丑の日とシンクロニシティ

昨晩は甲府に引っ越してきて初めての「はしご酒」だった。

この日は新任教員3人で「前期お疲れ様でした会」の飲みに行くことになっていて、朝メールをチェックしたら、高校からの親友のメール。「今日は6時に仕事が終わるので、その後なら大丈夫よ」 ま、まずい。そういえば霞ヶ関で働く彼が、山梨に出張だから飲もうよ、と誘ってくれていたのだ。7月頭に。ここ3週間ほど、新車が来たり、授業をまとめたり、入試委員のお仕事が忙しかったり、とバタバタしていて、すっかり彼との約束を忘れていた・・・。どないしょう?と思っていたが、よく考えれば、3人会のスタートはいつも決まって5時半過ぎ。ならば「8時頃に合流できそうだから、それまでほうとうでも食べて小腹を満たしておいてください」とご了解いただき、「はしご酒」を決め込んだのであった。

で、3人会なのだが、今日のお題は「土用の丑の日」。「やっぱりウナギでしょう」と仰る某先生。でも、甲府でウナギ屋って知らないよなぁ。まあ、ウナギも食べさせてくれる飲み屋を探そうか、と駅前を歩き始める。新聞ではウナギが高騰している記事も読んでいたので、正直、あんまり当てにしていなかった。で、何となくメインストリートでなく、路地裏の道が誘っていたので、「あっちに行ってみましょうよ」と言いながら歩いていくと、「鰻屋」の看板が。ほんとかよ、と思いながら、角を曲がると、なんと鰻屋さんに行き着いたのです。本日特別メニューと張り紙してあったけれど、上でも2000円。まあ、季節物ならいいか、と入ってみると、どの席にも「ご予約席」の表示が。だめかなぁ、と思いながら聞いてみると、「テーブルは一つ空いていますから、どうぞ」だって。5時40分から飲み始める人もおらず、早く来て良かった。

その後、前期の反省会などをしながら、ビールをちびちび鰻を待っていると、次から次へ、来るは来るは。お持ち帰り予約の人々がひっきりなしに訪れる。何気なく入ったこの鰻屋、知る人ぞ知る、の名店であったようだ。その店にいた2時間弱の間に、お持ち帰りの鰻は、少なく見積もっても100食分はあっただろうか。丑の日に鰻屋にいると、少し騒々しいけど、でも「旬のものを現場で!」という喜びも得られます。何だかグルメブログを書いている友人に似てきたなぁ・・・と思いながら、そのブログを見てみると、彼曰く、「肥満への階段」だってさ。いやはや、ごどうはい。あんさんきいつけな、僕と同じになりまっせ。

で、鰻屋で大満足して、予約席も一杯になったところで外に出てみると、件の友人が。別に待ち合わせた訳でもないのに、「あれま!」とばったり。「いやぁ、友人にあってしまったので、では・・・」などと言いながら、お二人の先生に別れを告げ、こないだ行った目抜き通りの居酒屋へ直行。友人と乾杯しながら、お互いの近況話に花を咲かせる。そうこうすると、携帯電話がルルルと。もしもし、と出てみると、その居酒屋と通りを挟んで真向かいの旅行会社の担当の方から電話。出張のチケットの打ち合わせをして、「夜遅くまでお疲れ様」と挨拶をして電話を切る。なんだか、数珠繋ぎのような夕方。シンクロニシティ(共時的)といってもいいし、お釈迦さんが数珠でつないでくださった、と言ってもよいし。何にせよ、ありがたき夕方であった。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。