おもろい現場

大学にようやく慣れてきて、6月からボチボチ山梨の現場に出向き始めています。

僕は元々大学院時代からあまり大学に寄りつかず、色んな現場をほっつき歩いていました。特にここ2年間は、大学に所属はしていたものの、現場に入り込んでの実態調査を中心に行っていたので、いつも色んな現場の人との議論の中から何かを学ばせてもらう、という事が生活の中心となっていました。

なので、山梨に来ても、やっぱ現場は「おもろい(=関西弁で言う「楽しい」)」です。
しかも、山梨の地域福祉を少しでも理解するため、今まで開拓してこなかった現場にも飛び込みつつあります。昨日は子育ての分野のNPO法人の現場に、ゼミの学生さんと一緒に伺いました。現場の何がおもろい、って、一言で言うと「知らなかった事に出会えること」。昨日も、人を巻き込むことの上手なそのNPOの代表の方と話していて、発見や再発見の連続で、お話を聞いている間中ずっと、子供のように鼻がふくらみっぱなし、だったと思います。

そのNPOに限らず、「おもろい現場」には、必ず「おもろい人」がいます。色んなタイプの「おもろい人」と出逢って来ましたが、共通するのは、「欲深い人」である、という点。もちろん「欲」といっても、個人の利益の為に「欲深い」という訳ではありません。自分初で、自分がおもろいから始めた事なんだけれど、気づいたら自分に関わりの深いあることの為に片足だけでなく両足をずっぽりつっこんで、いつの間にかそれがミッションに変わっていた。そして、そのミッションを実現する為に、使える人材を見つけては、自分の近くに引きずり込んでいく魅力がある。その上で、ちまちました夢でなく、大きな野望をそのうち抱き始め、その実現の為に足下から着実に固めていく戦略的側面を持っている。でも基本的には楽観的性格で、「あかんかっても何とかなるわ」と思いながら、チャンスは逃さずモノにしていく。でも一つの成果に飽きたらず、次の事業・展開にお金も時間もエネルギーもどんどん突っ込んで(投資して)いく・・・。

挙げだしたらきりがないけれど、これって今はやりの言葉で言えば社会起業家(Social Entrepreneur)なんやなぁ、と思うんですが、ご自身が「起業家」っていう気持ちがないのも、「おもろい人」の特徴でもあるかもしれません。「何やしらんけど、いろいろやっているうちに、こんな風になってしもうた」というのが、多分ご本人の内心なのでしょう。でも、その「なってしもうた」「こんな風」がすっごく「おもろい現場」となっている事に変わりはありません。そして、そういう場に出かけると、こっちもエネルギーをたっぷりもらえるのが、これも「おもろい現場」に共通すること。昨日もそういう意味ではたっぷり充電させて頂きました。

週末も、大阪「おもろい現場」に出かけて、また充電させてもらってきます。関西だけでなく、山梨の「おもろい現場」でも充電しようと企んでいる僕自身も、もしかしたら「欲深い」ジャンルに入るのかもしれません・・・。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。