収束と発散

火曜日に研究室に戻った後、とにかく毎日やたらと忙しい。

火曜はアメリカから持ち帰った資料整理と、お会いした人々へのお礼メールを書いたり、研究室の片づけをしたり、取材時の録音データをパソコンに取り込んだり、そのデータを文字起こししてくれるインドの会社に発注したりしているうちにあっという間に時間が過ぎる。で、昨日は午前はアメリカ調査関連の事務処理に追われ、午後は来週急に入った講演の打ち合わせで来客。地域の障害者支援の現場で働いておられる方々なので、打ち合わせついでに地域支援の実情について色々お話をお聞かせ頂く。1時間半ほど色々お聞かせ頂いてお見送りをした直後に、今度はNPO実践を積んでこられた方と偶然お会いし、そこからまた3時間あまり。ちょうど今、後期のボランティア・NPO論の授業構想を練っていたので、その方のお知恵を拝借しながら、ブレーンストーミングにつきあって頂く。その後同僚と30分ほどしゃべって、都合おしゃべり6時間。帰ってもアメリカからの返信の対応などをしていると、夜中になってしまった。

で、今日あたりから、続々と色んな追加資料がメールで届く。お礼メールを書いたついでに、「こういう事も知りたいのですが」と書いて送ったら、早速色々送り返してくださったのだ。さすが情報開示先進国のアメリカ。またもや読まねばならない資料がてんこ盛りになるが、そうやって読み進めるほどに、今回の調査の実りの多さに本当に感謝する。今回は主に権利擁護と情報公開、隔離拘束と地域生活支援、という4つの話題についてインタビューしたのだが、どれも興味深い内容を持ち帰ってこれた。これからそれをどう日本語でまとめ、整理し、アウトプットしていくのか、が問われている。一方で気づけば再来週から授業も再開。つまり、あと10日強しかまとめる為の余裕時間はないのだ。という訳で、今週来週は休日返上になりそう・・・。とほほ。でも、鉄は熱いうちに打て、ではないけれど、「これはおもろい」という気持ちがさめないうちにまとめないと、特に英語情報はすっかり忘れてしまう危険性がある。宝の持ち腐れにならないように、ちゃんと活字にして日本の現場に伝えていかねば。

で、今日の夕方もまた人と話し込む。来週もう一件勉強会の講師を頼まれたのだが、その主催する組織の責任者の方が自宅の近所まで所用で来られるので、来週の会の打ち合わせ。そこは障害者の雇用の場を創るために農場もやっておられるのだが、今は収穫の季節。もう栗やら野菜で一杯よ、と施設長さんに電話越しで言われて、「羨ましいなぁ」と思わず口にでたら、すかさず「じゃあ明日持って行ってあげるから」と言われて頂いてしまった。野菜をもらいにきたのか、会の打ち合わせなのか本末転倒だが、ちゃんと打ち合わせもみっちり1時間半近く行った。

実はその方に会う前に、別の現場のワーカーの方と電話で話していて、支援の難しさや燃え尽きの問題が議論に上っていた。そこで、打ち合わせついでにそのことの議論となり、制度改変と地域変革、当事者支援の在り方などで、議論がどんどん膨らんでいく。アメリカの権利擁護の実態と、日本の制度改変の行方、どちらも大切な話題で、ここ数日、その両方がどんどんごっちゃに頭の中に入ってくるので、頭が少し混乱状態だ。どうもここ数日収束的思考ではなく、発散的思考になっている。でも実はごっちゃに拡がっている様々な話題が、たぐり寄せていけば必ずや一つにつながっているのが直感的にわかっている。なので、この渦巻いているいろいろな断片をタペストリーに織り込んで、ある一定のまとまりに収束させるべく、何とか気づき始めた「つながり」や「可能性」を言語化していく作業を週末にかけてしていこうと思う。しかも偶然にもちょうど良いご縁で来週二回話をさせて頂くチャンスがある。ならば、その場も利用させて頂いて、話をしながら頭の中のグルグルを整理出来れば、などとたくらみ事まで膨らむバタであった。

あかん、今日はどうも頭がぶっ飛んでいるので、文章も結構ぶっ飛びがちだ。おふろで少し頭をほぐさねば。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。