まじめに働く

連日くたびれきっている。それだけ濃厚な調査だ。

今は現地時間の午前7時過ぎ。今日は8時半に出発して、精神障害者の地域生活支援の拠点と、ワインで有名なNapaにある州立精神病院の、二カ所に取材に行く。しかもNapaまではサンフランシスコから2時間弱かかる。一日に二つの取材は結構ハードだ。それに今回は自分で運転していく。

今回の調査はレンタカーに大いに依存している。前回のアメリカ調査ではレンタカーを使わなかったのだが、車社会アメリカでは公共交通機関のみでやっていくのが、特に郊外の場合実に大変であった。バスは便数があまりなかったり、またタクシーが各駅に止まっている訳でもない。たとえばサンフランシスコから州都サクラメントに行くにしても、公共交通機関なら、バスで二時間、というのが一番早い。このバスは片道15ドルと格安で、学生か低所得者層が多く利用していて、それなりに味のある乗客で楽しい。前回の調査も利用したのだが、サクラメントの政府の役人にバスで来たことを伝えると、「あれは良くないから列車で帰れ」と強く勧められた。で、帰路を列車にしたのだが、ディーゼル機関車で走るアムトラック(大陸横断鉄道)だと、2時間半かかり、しかもサンフランシスコ市内には連絡バスでさらに半時間ほど揺られる必要がある。飛行機もあるのだが、空港までのアクセスに両方とも時間がかかる。すると、実は一番良い選択肢が「自分で運転していくこと」。今回は自分で運転したら、1時間半で着いた。実にらくちんだった。

で、移動が楽な分!?、調査に集中できる、というか、実に密度の濃いやり取りが連日続いている。日本で山ほど資料をwebからプリントアウトして、毎晩丑三つ時まで読み込んでから出かけるのだが、それでも現地に出かけてみると「それはもうやってないよ」「でもその代わり、こんなこともはじめたよ」などと色々な情報が捕まえられる。資料を読んでもよくわからなかったポイントも、実際にその現場で、お顔を見ながらお話しを伺っている内に、「何となくこういうことなのかな」とわかってくるから、こりゃまた不思議な話だ。この数年間でネットでの情報公開が飛躍的に進んだとはいえ、肝心要な情報はやはり、現地に行ってみないとわからない。まあ、これが実地調査のおもろい所なのだけれど、

あと1時間で出発するので、ご飯を食べながら、今から予習に勤しむバタであった。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。