レンタカーと付け焼き刃

日曜日にレンタカーを借りる。

調査のために1週間のレンタルをしたのだが、左ハンドルで走るのはスウェーデンのイエテボリ在住時以来。スウェーデンは車も少なかったので、ボルボステーションワゴンを借りてぶっ飛ばしても比較的気楽に運転できたが、ここは大都会サンフランシスコ。めっちゃ緊張しながらHertsレンタカーに車を取りに出かけた。今日はとりあえずアメリカの運転に慣れるための練習日に当てていた。で、出てきたのがスウェーデンと同じ「ボルボ」。今回は一番安い車の料金しか借りていないのでカローラが出てくるか、と思いきや、レンタカー屋のキャンペーン期間中だったらしく、1グレードアップした車が出てきた。ボルボを目の前にして、少し安心する。

でも、最初の難関はガレージだった。レンタカー屋の近所にある9階建てのパーキングの最上階に、白のボルボ君が止まっていた。乗り込んで、日本語ナビの設定に手間取った後、さてスタート、となったときに、一番面食らったのが、9階から1階のスロープ。螺旋階段的にグルグルさがっていくのだが、なんせ左ハンドルである。右ハンドルなら、車幅感覚はばっちりなので螺旋カーブでもグングンとばせるのだが、左ハンドルで全く車幅感覚がつかめない。なのにいきなり最難関の「細いカーブ」。泣きそうになりながら、「右側は大丈夫?」と妻にずっと叫び続けながら、冷や冷やしながら坂を下る。で、ようやく外に出て、また大きな難関。何せ初めての左ハンドル左車線の大都会で、しかも土地勘が殆どない。ナビの画面を見えてももう一つよくわからない。そんな中で、どうにかこうにかフラフラしながら、の運転の滑り出しであった。

で、目的地はサンフランシスコ国際空港。今日から合流される研究者の大先輩ご夫妻をお迎えに行こう、という魂胆だった。フリーウェイの流れにのると気付けば100キロ。ぶんぶん飛ばしながら、ようやく車幅感覚もつかめて来た頃には、空港に到着。ご夫妻はカナダ経由で来られたので、てっきり国際線ターミナルに到着される、と思ってお出迎えに行ったら、結局カナダは国内線ターミナル扱いだった。なので、ご夫妻をお出迎えも出来ず。諦めて、ナビの設定を「フィッシャーマンズワーフ」にする。ようやくナビの扱いと操縦のコツもわかってきた。そして、サンフランシスコ市内中心部の坂道をアップダウンしながら、夕方になってフィッシャーマンズワーフに到着。駐車場に入れるのも一苦労なほど、日曜日の今日は道も駐車場も混雑していたのだが、何とか駐車場に車を置いて、海沿いの歓楽街を散歩する。ケーブルカーでも行けるのだが、1時間以上待たなければならない長蛇の列。今日ほどレンタカーのありがたみを感じることはなかった。

ようやく車にもカリフォルニア市街にも慣れてきた。明日からは、真面目にお仕事の日々。今度は現地調査の内容にもそろそろ慣れないとまずい時期。だが、まだアメリカのシステムはようわからんままだ。さてはて、これでインタビューはうまくいくのか。非常に不安材料を残しながら、相変わらずの「付け焼き刃」的勉強に終始するバタであった。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。