継承するパス

トップページの写真を変えてもらった。

これで3回目になる。1回目の写真は真冬のコペンハーゲンの写真だったのだが、さすがに真夏に暑苦しい写真もどうか、と思って、カリフォルニアの海岸での写真に変えてみたのだ。でも、どアップの自分の顔はさすがに見苦しく、今日マジマジ見て顔が相当老けてきたことも発見。こりゃあいかん、お見苦しい、と、あんまりない在庫の中から、おとぼけの一枚を探してみたら、ようやく出てきた。国内某所で撮りました。さて、背景に写っているものは、なあんだ?

今回の写真の変更も、このHPwebmasterであるmamnag氏の素早くかつクオリティの高いお仕事に支えられている。彼がいなかったらこのHPは全く成り立たない。本当に感謝深謝。なにせ本業でめちゃくちゃ忙しいはずなのに、メールを送って15分後にはもう変わっていた! 出来る人は本当に仕事が速いのね・・・。それに比べて色々リスのように仕事をため込んでいるタケバタときたら・・・と反省しながら、せっせこ週末から来週にかけて、神戸大阪韮崎でお話しする原稿の最終仕上げとメール発送作業を行っていた。90分の講演でパワポ28枚+関係資料15枚。本体だけで1枚3分。そんなアホな、の世界である。そりゃあ某K先生のように、パワポを何十枚も用意しながら5枚しか終わらなかった、という事にはならないよう気をつけなければならないが、この間パワポが増えるほど、早口で全速力でしゃべる日々が続いている。ちょっと内容の精査も必要なようだ。

今日はまた、研究室にお世話になっているある方が、どっさり本を持って現れた。「僕はもう使いませんから」と、その方がご専門にされてきた分野の本をどっさりお持ちくださったのだ。理由をお聞きすると、ご自身の仕事に一区切りをつける際に、若い人の教育に役立ててほしい、と私に白羽の矢を当ててくださった、とのこと。頂いたパスの大きさ・重さを噛みしめながら、しっかりと受けとらせて頂いた。

僕はかように、パスを投げて頂くこと、受け止めて頂くことが多い。前述のmamnag氏は、僕が学生さんや後輩にパスを出し続けたい、それをwebを使って拡げていきたい、という思いや願いを形にすべく、web作成というパスを受け止めてくれている。そして、本を持参くださった方は、僕が次にパスを出せるよう、ご自身が作り上げて来られた世界の一部を僕に託してくださる。某K先生には、研究面でとてつもなくお世話になりっぱなしで、最近自立支援法案関連の講演に出させて頂くこともあるが、いつも先生から学んだことを必ず織り込みながら、話をさせていただいている。こうやって、パスを受け止め、次に伝えていく、ということは、連綿としたパスのつなぎ合いの中から生まれてくる、継承物なのだ。どうころんだって僕一人で作れるものではない。こうやってつながれて来たものだから、それを学生さんにパスすると、真っ直ぐ受け止めて、走り出してくれる人が少しずつ、出てきた。これは僕の話がよかったから、ではない。ずっと受け継がれてきたパスの重みと大切さを実感してくれたから、である。これほど嬉しいことはない。僕にパスを投げてくださった、あるいは僕のパスを受け止め形にしてくださった全ての方に、恩返し出来る唯一の方法、それが次の誰かへのパスの継承だと思っている。

そういう意味では、大学で、高校で、市民講座で、福祉関係者の前で、いろんな機会でパスをするチャンスを与えて頂いていることに、感謝しなければ。と同時に、パスをする僕自身が、ちゃんと色んな場で適切にパスを出来る主体か、も問われている、とますます感じている。日々これ勉強、なにくそ勉強、しみじみ勉強・・・。そういえば、これは受験生時代の恩師T先生から受け継いだパスだったっけ。一つとして僕のオリジナリティなるものはない。でも、そうやってご縁のあった方々のオリジナルを引き継ぐ中で、タケバタなるものの独自性が構築されてきたとするならば、これほど嬉しいことはない。明日も1限から3コマのパスの場面が待っている。さて、どんな球を投げましょうか・・・。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。