洗濯機待ち

栄えあるブログ100本目を、風邪引きさんで迎えた。

昨年5月から早9ヶ月。平均して月に10~11本書いているので、週2.5本程度。「二日に一回」というトップページのうたい文句はやや誇張だったようだが、まあ当たらずとも遠からず、という感じである。最近、ブログ見てますよ、とお会いしたおり、あるいはメールの追伸や年賀はがきに書いてくださる方もあり、ありがたい限り。今後ともよろしくお願いします。

で、風邪さんである。この冬は引くまい、とインフルエンザワクチンも打ったし、暴飲暴食はお正月を除くとしてないつもり、なのだが・・・昔から見た目と違って「か弱い」タケバタ、やはりその地が出てしまいましたね。特に甲府は空っ風で、イエテボリ時代よりも乾燥しているように感じる。先週末にノドがやられ、おうちで養生していたら治るかな、と思いきや、週が開けて月、火と鼻から全身にだるさ、へと、おきまりのコースを辿ってしまった。図書館でお会いしたHさんには、「それはフルコースですね」と言われる。そう、フルコースのもう終わりの方なのである。

だが、今週が風邪、というのは、まあまことに都合がよろしくない。なんせゼミの面接に来る学生もいれば、来年度ゼミに向けて学生さんへ伝えることもある。そう、今週は授業最終週なのだ。なので、風邪にもかかわらず、学生さんが来ればついエンジンのかかるタケバタ。月曜から水曜まで、よーしゃべった、しゃべった。今日は1年の基礎ゼミ(新入生研修)と2年の専門演習の最終日だったが、どっちもノドを枯らしてしゃべりまくる。2年ゼミはこの一年のプロジェクトの総決算を学生さんとしていた。ほんと、福祉の知識がほとんどゼロの11人が、たった一年でここまでよやったよね! ・・・と新人教員は感動しながら、最終報告書のゲラに赤を入れていた。この報告書はまたウェブ上にアップするので、そのうちみてやってくださいまし。

1年ゼミの学生さんには、いろいろ自分自身のことを振り返ってもらい、みんなの前でそれを発表して貰った後、次のようなことをお伝えする。

皆さんにこの1年ゼミで自分のことを話してもらったのには、二つの理由があります。そのキーワードが「対話」です。そうは言っても皆さん、友人同士でふだん対話しているよ、って言うかもしれません。でも、本気で自分の価値観を相手に伝えたり、相手の思っていることを真面目に聞いたり、という場面が最近あったでしょうか。このゼミでは、いろんなワークシートなどを使って、皆さん自身にそれを振り返ってもらい、仲間の前で発表してもらいました。これは、「自分を開く」対話です。こういう自分を開く対話をしながら、仲間の「開かれた」姿に出会う中で、自分自身にとっても様々な気づきが生まれてくれればいいな、と思ってやっていました。あと、もう一つ大切なのは、「社会につながる」対話、です。後半のディベートの練習などは特にそう。いろんな人とつながる中で、社会に向けて一歩踏み込んでいくために、色々調べたり、吸収したりすることが必要です。そういうプロセスを経て吸収したものを、多くの人の前で発表したり、分かち合ったりすることも大切。そういう中で、「社会に向けて」「開かれ」「つながる」対話が、皆さんの中で少しずつ出来てきたと思います。

でも、このゼミで出来たのは、あくまでも、「自分を開く」「社会とつながる」対話の「お作法」を体得しただけです。これから皆さんが二年、三年と成長していく中で、のんべんだらり、とすごさず、折に触れ、二つの対話を試みてほしい。また、「俺って最近この二つの対話が出来ているかな?」と確認してほしい。その中で、試行錯誤を繰り返してほしい。試行錯誤とは、試して、失敗して、その失敗から再び何かを気づいて試すこと。つまり、社会とつながろう、と試みて、失敗して、その失敗の要因を自分を開いて確かめて、再び実践する。そういうチャレンジの中から、自分がやりたい何か、が見つかるはずだ。そういう実践を積み重ねれば、「諦め」から解放される。「どうせ」「俺になんて」「しゃあない」・・・こういった逃げ口上しか言わない人は、その逃げ口上で自分をがんじがらめにしてしまっている。そうじゃなくて、自分を開きながら、社会とつながりながら、試行錯誤しながら、諦めずにチャレンジしてほしい。

・・・よくもまあ、そんなに饒舌にしゃべるなあ、って?
はい、これは僕が大学1年生の時に、聞いておきたかったことだからだ。あんとき、これくらいの気づきがあったらよかったのに、と再帰的に過去を振り返り、僕ではなく彼ら彼女らにバトンをつなぐ、それが教員の役目のような気もしている。風邪引きさんでも、これくらいのことは伝えたかったので、今日もがんばってみたのであった。

と書き終わったところで、そろそろ洗濯機もお仕事を終えたようだ。風邪で早く帰ってきて、とりあえず乾燥機に服を放り込んだら、ひとねむりします。おやすみなさい。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。