あきらめでないで

 

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
喧しい新春特番に「相も変わらず」と思いながら、まあこれが日本的正月なのだろうなぁ、と思ってみたり。そんなテレビはつけっぱなしにしておいて、ブログを今年もポツポツ書いてみまひょ。

さて、これもごく当たり前なことなのだが、一年の冒頭に、この一年の抱負を述べる、というのは、未来完了形で物語を構築する上で大切なことだと思う。昨日は年に一度の総決算で、今日は年に一度の予想屋タケバタなのであるが、まあ当たるも八卦当たらぬも八卦、でこの一年の間に考えたいことを少しばかり列挙してみよう。

4者のバランスをうまくとる
4者とは、教育と研究、社会活動にプライベート、である。昨年は教育と社会活動を必死で成り立たせていた。よって、研究とプライベートがおろそかになっていたと思う。土日もなく講演やら勉強会ならで家を空け、パートナーには相当ご迷惑をかけた。すんません。やはり、プライベートが充実してこそ、の教育研究活動。ここをおろそかにしてはいかん、と思う。また、あまり大きな声では言えないのだが、研究に納得いくほど力を注げなかったのも否めない事実。ものごとをまとめるのに充分な時間がなかった、と言い訳をするのも不細工だ。今年は、もうちょっと研究にちゃんとした時間を作って、もう少し4者のバランスをとりたい、と思う。それがないと、自分らしい人生を形作れない・・・。

薄く浅く、よりは濃く深く
薄味の浅漬け、的な関わりは、物事をいいかげんにすませてしまう可能性がある。去年は正直に言うと、この「いいかげんさ」でごまかしていた部分があった。こういういいかげんさは、人に指摘される前に自分から変えておかないと、後でえらい目にあう。ただ、濃く深く関わるためには、時間と期間が必要だ。ということは、必然的に仕事を選び、出来ないことは出来ない、と断る局面も必要になってくる、ということである。まあこれまでは何でもかんでも引き受けすぎのきらいがあったので、これからはじっくり本腰になって、濃く深く、関わりへとシフトできるように、少しずつ自分の仕事の台帳を整理していく必要があるのだろう。

イズムに流されるのではなく
ここしばらく、様々なイズムに流されて、ちょっとしんどい日々が続いていた。この国は、思想史だけではなく、社会福祉においても、様々なイズムが跋扈している。もちろんそのイズムが当事者の豊かな地域自立生活に役に立つのであれば、それはそれでよい。しかし、イズムや他人の自己実現のために犠牲になるのが当事者だとしたら、それはひどい話である。日常を構成する様々な考えの背景にあるイズムに支配されている限り、まっとうな話は通じない。まっとうな議論を構成するためには、その事実の背景に隠されているイズムをあぶり出し、そのイズムとは関係ないところで現実を構成していく必要がある。我々の先輩が社会運動としての福祉を作り上げてきた功績は評価するとして、その背後で積み上げていた運動論的ロジックについて、当事者中心の発想から考えて「おかしいところはおかしい」、とそろそろ引導を渡さなければならない時期にきているような気がする。まあ僕がその引導役になる気はないが、今年はそのイズムを超えた議論を出来るよう、僕自身が勉強していかなければならない、と感じている。

現場主義
→①
を書いていて思うのは、このままいけば僕自身も観念的になる可能性がある、ということだ。現場主義を貫き、耳をそばだて、目を見開き、いろいろな現実にじっくり腰を据えて取り組む必要がある。研究室に閉じこもっていたら、腰砕けになってしまう。今年は現場に腰を落ち着けて、じっくりその現場の声に基づいたストーリーを創り出していかなければだめだ、とつくづく思う。

・・・にもかかわらず、諦めないで
様々な現実にふれると、僕は必ず言われる。「青臭い」「現実は違う」「物事がわかっていない」・・・。何を言われてもよい。でも、現実が理不尽であっても、だから仕方ない、なんて言いたくないのだ。いろいろあるけれど、「にもかからず諦めたくない」という思いは、年々強くなっている。諦めたくなる現実が強く支配すればするほど、諦めたくない、という思いが、どんどん強くなってくるのだ。ある種の意地っぱりなのか、現実を認めないユートピアンなのか。でも、なんと他人にラベリングされようと、現実を諦めずに構築していく必要を、年々強く感じている。ここで諦めて「しゃあない」と言ってしまったら終わりではないか。強く強く、それは感じる。この直感を大切にして、2006年もますます「あなたの夢を 諦めないで」でいこう、と思う。別に岡村孝子のファンではないけれど。

このブログでも、上述の5点をもとに、この一年も無知蒙昧な暴言や妄動記録を書き連ねていく可能性がたこうございます。読者の皆様、どうぞ暖かな気持ちで、見守ってくださいませ。今年もよろしくお願いします。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。