うぬぬの日々

 

月曜日以後、今日まで息つく暇もないほど、みっちり予定が詰まっていた。

月曜日はほぼ一日根を詰めて、二本のレポートの仕上げにかかる。特に、権利擁護に関するレポートの追い込みをかなりカリカリやっていた。この日も一日中PCの前にいて、何だか全身が疲れ果てる。

でもそのおかげで、火曜の午前に一応の区切り。両方を事務局の方にお送りする。ほっと一息ついている時、とある先生と雑談。いろいろな話の流れで、日本の精神医療の特殊性の話に及ぶ。そして、海外との違いで「どこが分岐点なのか」という話になり、昭和40年の法改正がある種のキーポイントの一つだ、ということを思い出していた。この年の精神衛生法の改正は、地域精神保健福祉の内容を盛り込はずだったのに、その直前に当時のライシャワー駐日アメリカ大使が精神障害のある若者に刺される、という事件があり、その影響で地域精神医療への展開は大きく制限された、という「ライシャワー事件」なるものが起こった。歴史にもしもはないけれど、この事件がなければ、もっと早く脱施設の流れになったのかどうか、が気になって、その後文献検索や図書館での調べものをしているうちに、あっという間に日が暮れる。図書館で面白い論文もゲットしたのだが、その紹介はまた週末にでも。で、夕方に久方ぶりにジムに出かけて、この日は終了。

水曜日。朝から山梨市で勉強会の進行。いつもは僕の一方的な1時間半ほどの講演が多いのだが、この場にお集まりの皆さんには、実は9月に自立支援法で講演をしている。9月から大部情報は追加されているけれど、でも同じような話をしてもなぁ、と思っていたら、主催者が気を利かせてくださり、現場の方々の声を聞く会に変えてくださった。タケバタは司会進行なので、当事者、家族、支援者、行政の様々な立場の方々に「法改正直前で今、困っていること」を順繰りに述べて頂き、論点整理のお手伝い。2時間という限定された時間だが、結構高濃度の議論となったようで、僕自身も相当勉強になった。会場の方からも同様の感想を頂き、コーディネーターとしてはほっと胸をなで下ろす。

その後、大学で今度は新入生となる高校3年生に解いてもらった課題文を読み込む。3,40人の学生の文章へコメントをつけて返すというのは、結構時間がかかる。しかも、大学の学びに不安と期待を持っている彼ら彼女らに、大学教員が初めてアクセスする場でもある。改善点の指摘だけでなく、これから勉強したいなぁと思って頂くような、cheer upの内容でないと、僕が受けとる側なら入る前からへこんでしまうだろうなぁ・・・。そんなことを考えながらチェックしているので、なかなかどうして、時間がかかるのだ。

で、水曜日はその後、教授会と学科会、それから退官される先生の送別会と会続きで日が暮れて、木曜の朝は必死でコメント作成を2時間で終える。なんせ、昼の「あずさ」で東京に出張だからだ。水曜の晩にプリントアウトした、「全国障害保健福祉関係主管課長会議(平成18年3月1日開催)」の資料を持って行くので、鞄が重い。来月から新たな法律に変わるのに、まだ具体的に決まっていない部分が多いので、サービス報酬の単価やら指定基準やら、そういう細かい詰めの部分がドバッと出てきたのだ。今回はめちゃくちゃ多いので、半分に縮小して一枚の紙に2枚の資料が入るように印刷設定したが、それでも200枚は超えている。当然読む気力は沸かないので、せめてもの手段として移動中の車内で読む、よむ・・・。やっぱりつまらないなぁ、とほほ、と消沈しているうちに、あっという間に列車は新宿。2時間半ほど会議に出て、今度は「かいじ」でとんぼ返り。

そして、今宵、奥さまと駅で待ち合わせ、久しぶりに外食に出かけた。駅の近くにある、感じの良い居酒屋。食事もお酒も美味しく、つい食べ過ぎたが、リーズナブルな値段だった。何より静かに落ち着けるので、久しぶりにゆっくりお食事タイム。今週はまだまだ強烈な日々が続き、明日からは今度は出張続き!なんだかゆっくり和む時間があまりにもないので、久しぶりに街中で団らんしていたのであった・・・。とはいえせっかくの団らんのあとも、帰宅後、急ぎの用事で頼まれた文献探しにパソコンと睨めっこしていたら、元の木阿弥なんだけど・・・うぬぬ。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。