シェフの腕の見せ所

 

貰い物のいんげん豆のへたをとっていると、外から鼓の音が聞こえてきた。
近くの神社で能でもやっているのだろうか? 

家でのんびりしていると、様々な音が聞こえてくる。関西にいた頃は、車のクラクションや爆竹・花火系、あるいはたまには暴走族の音だったり、「騒音」にカテゴライズされるものだったが、こちらでは、鳥のさえずりやら、近所の小学生の「ただいまー」という元気な声やら、まあ健康的な音が多い。
音は、集中やリラックス、そのどちらにも関係しているので、騒音けたたましくないこの地では、非常にリラックスできる。

音だけでなく、野菜もすこぶるよい。
週末は、人に教えてもらった「道の駅」でおかひじきやらルッコラなどを買い込む。ルッコラはスウェーデンで頂いていらい、大ファンになった癖のある葉物。イタリア料理にたまにちょびっと載っていたりするが、我が家では100円の束を二束買って、大量に食す。レモンベースのドレッシングを作り、焼き豚の残りとかりかりベーコン、それにトマトとキュウリを添えると、立派な準メインディッシュとなる。

能を聴きながら処理をしていたいんげん豆は、葉タマネギ、しめじ、鶏肉とともに煮物に。煮干しと干し椎茸でだしをとったら、あとはCMじゃないけれど、「しょうゆとみりん、1:1、ただそれだけ」で実に美味しく仕上がる。おかひじきもさっと茹でてポン酢で頂くと、しゃおしゃおして美味しい。おかひじきなるものは、甲府に引っ越して初めて食べてみたのだが、実に美味しい。初夏の味覚を満喫した。

「タケバタさんは食の話は熱を込めて、研究の話は迷いながら、が多いですね」
とは、よくこのブログを読んでくださるM先生の分析。その通りなのです。実際、昨日もグタグタ迷いの文章を書いていましたしね。それに比べて今日のはルンルンに書いている。もちろん研究にも「熱は込めて」いるのだけれど、どうもまだ歯車がピッタリあい切れていないのか、模索の途中なんです。それにくらべると、主夫生活は板についてきたのか、あるいは30年以上「食べている」からか、ついでに山梨で美味しい食材に沢山出会えることもあってか、食とは最近実に良い出逢いが出来ている。

研究だって、もちろん良い出逢いがたくさんある。あとは、それを僕がどううまく「調理」できるか、だ。ここからが、シェフタケバタの正念場なのだろう・・・。その前に、包丁をとがなくちゃ、ね。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。