認知症と薬(の乱用)

 

もう寝る時間なので、備忘録的に。

仕事帰りの車の中で、BBCNewspodを聞いていたら、こんな記事に出会った。

Dementia drug use ‘killing many’

本当に「ぎょうさん殺している」。
記事によると、大臣の諮問機関が行った専門家による監査では、認知症患者のうちの18万人に薬が処方され、うち15万人(8割)は不必要な投薬、そして1800人が死に結びつく投薬だった、という。

ちなみに、新聞でもこんな記事が。
‘Chemical cosh’ drugs blamed for deaths of 1,800 care home residents

それから、政府(イギリス保健省)による公式見解。
Government takes action on antipsychotic drugs and dementia

我が師匠、大熊一夫氏は我が国でこの問題を随分以前より取り上げてこられた。曰く、「縛る、閉じこめる、薬漬けにする」と。この「薬漬け」について、師匠は「ルポ・老人病棟」などを通じて質的調査という形で取り上げてこられた。それから20年あまり。ようやく他国ではあるけれど、政府機関による調査として、抗精神病薬の乱用問題が量的にも明らかになってきた。さて、この問題が日本でもきちんと取り上げられるか、が今後の大きな論点になるだろう。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。