今日の部会の意見書です

今日は内閣府障がい者制度改革推進会議、総合福祉法部会の第6回目が開かれている。毎回、膨大な意見書を書いて、議論をしてる。
今日の部会では、作業チームを作って10月以後個別論点について議論がされるということなので、いよいよ秋から冬にかけて、根を詰めた議論になるだろう。
取り急ぎ、今回の私の意見書です。
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(第6回総合福祉部会)「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見
提出委員    竹端  寛
(分野D 支援(サービス)体系)
<項目D-1 支援(サービス)体系のあり方について>
論点D-1-1) これまで支援の狭間にいた人たち(例えば発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害など)に必要な福祉サービスとはどのようなものであるか?
○結論
まいにちのくらしの支え(生活の支援)と、「○○したい」をかなえるための支え(社会参加の支援)
○理由
 ○○障がいだから、この支えはいる・いらない、と決められない。上の二つの支えは、どんな障がいの人であっても共つうする、福祉にもとめられている支えである。
論点D-1-2) 現行の介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業という区分についてどう考えるか?総合福祉法での支援体系のあり方についてどう考えるか?障害者の生活構造やニードに基づいた支援体系はどうあるべきと考えるか?
○結論
 本人の障害やくらしづらさゆえに求められる(障害者の生活構造やニードに基づいた)支えんの体けいは、次の5つからなりたつのではないか。
  1,ひとりひとりの状たいにあった介じょ(パーソナルアシスタント:個別ケア)
  2,「○○したい」をかなえるための支え(社会参加支援:日中活動の場、就労支援)
  3,住まいの提供
  4,でかけられない・みえない・きこえない、の支え(移動と情報の保障)
  5,なやみや不安、ふまんへの支え(ピアサポート、相談支援、権利擁護)
○理由
 いまの法は、おかねのしくみ(財源体系)と支えるしくみ(支援構造体系)がまざっている。さらには、介ごほけんのしくみとも「似すぎた」しくみである。いまの法がつかいづらいのは、このしくみ(体系)そのものの、ゆがみやひずみがあるからではないか。
  であれば、本人の障害やくらしづらさゆえに求められる支えんの体けいとして、まとめて考えたほうがよい。
  また、教いくや労どうに近い支えん(自立訓練や就労移行)は、労どうや教いくを支えるしくみ(政策)にいれたほうがいいのではないか。
論点D-1-3) 現行の訓練等給付についてどう考えるか?労働分野での見直しとの関係で、就労移行支援、就労継続支援等のあり方をどう考えるか?また、自立訓練(機能訓練・生活訓練)のあり方についてどう考えるか?
○結論
昼のあいだ社会にさんかする活どうの場は「日中活動の場」としてまとめた方がいい。
○理由
 障がいの重い・軽いや、活どうの内ようで細かくわけすぎないほうがいい。また、教いくや労どうに近い支えん(自立訓練や就労移行)は、労どうや教いくを支えるしくみ(政策)にいれたほうがいい。
論点D-1-4) 生活介護、療養介護も含めた日中活動系支援体系の在り方をどうするか?
○結論
 論点D-1-3の結論、理由とおなじ
○理由
論点D-1-5) 地域生活支援事業の意義と問題点についてどう考えるか?地域生活支援事業の仕組みになじむものと、なじまないものについてどう考えるか?
○結論
 今のじてんでは、どれもなじまない
○理由
障がい者のけんりをまもるしくみは、どの地いきに住んでいてもあたり前にまもられるべきもの(ナショナルミニマムやシビルミニマム)である。今の法では、そのあたり前にまもられるべきところも、市町村に決めさせ、国はお金も出しおしみしているのは問題だ。
一方で、国はけんりをまもった上で、市町村がそれ以外に地いきの特ちょうに合わせて出きること・すべきこともあるかもしれない。それを応えんする制度は、作ってもよい。ただ、高れい者や子どもの同じようなしくみ(制度)もふくめて、「地域生活支援事業」のようなものになじむものは何か、をあらためて考えなおしたほうがいい。
論点D-1-6) 現行のコミュニケーション支援事業についてどう考えるか?推進会議・第一次意見書では、「手話や要約筆記、指点字等を含めた多様な言語の選択、コミュニケーションの手段の保障の重要性・必要性」が指摘された。これらを踏まえて、、聴覚障害者や盲ろう者、視覚障害者、さらに、知的障害者、重度肢体不自由者を含めた今後のあり方をどう考えるか?
○結論
 パーソナルアシスタントサービスと情報保障のふたつ
○理由
 一人ひとりの思いや願いを伝えづらさを支えることはパーソナルアシスタントになじむ。でも、手わ通やくや点じなどは、それとは別に、求める人すべてに対おうできる仕くみをつくるひつようがあるのではないか。
論点D-1-7) 現行の補装具・日常生活用具についてどう考えるか?今後のあり方についてどう考えるか?
○結論
○理由
論点D-1-8) 現行の自立支援医療についてどう考えるか?基本合意において、「当面の重点な課題」とされている利用者負担の措置に加えて、どのような課題があると考えるか?
○結論
福祉と医りょうの重なる部分であり、使っている人の実たい調査にもとづいて、必要な支えや負たんのあり方を考えた方がいい。
○理由
<項目D-2 生活実態に即した介助支援(サービス)等>
論点D-2-1) 推進会議では、シームレスなサービスの確保の必要性が指摘された。また、障害者権利条約では「パーソナル・アシスタンス・サービス」を含む支援サービスも提起されている。これらをふまえ、地域支援サービスのあり方についてどう考えるか?
○結論
 ひとりひとりの状たいにあった支えや介じょである「パーソナルアシスタント」もふくめて、論点D-1-2でのべた5つの支えん体けいが必よう。
○理由
 ひとりひとりの状たいにあった介じょ、というのは、権り条やくをまもる上で欠かすことができない部ぶんであるから。
論点D-2-2) 現在のホームヘルプ、ガイドヘルプの仕組みについては、何らかの変更が必要か?また、ガイドヘルプに関しての個別給付化は必要か?
○結論
 ホームヘルプやガイドヘルプはげんそくパーソナルアシスタントとした上で、それを求める人のニードに応じた支えんがなされる仕くみ(個別給付化)は必よう。
○理由
 それがないと権り条やくがいう「ほかのひとと同じようなくらし(他の者との平等)」がまもれないから。
論点D-2-3) 障害特性ゆえに必要とされる見守りや安心確保の相談といった身体介護・家事援助ではない人的サポートの位置づけをどうするべきか?
○結論
 パーソナルアシスタントの支えの中にいれる。
○理由
 見守りや情ほうのていきょう、不あんな時の相だんなども、障害ゆえの生活のしづらさに対おうする大切な支えんであるから。
論点D-2-4) 医療的ケアが必要な障害者の地域でのサポート体制を確立するためにはどういう課題があるか? また、地域生活を継続しながら必要に応じて利用できるショートステイ等の機能を望む声があるが、確保していくためにどのような課題があるか?
○結論
 どんなに重い障がいがあっても暮らせる地いきとそうでない地いきの差がありすぎる。その差をなくすため、かなりたくさんの地いきでの支えん体せいを、この数年いないにつくるべきである。
○理由
 たいへん重い障がいをもつ人の家ぞくは、今、しせつをなくされたら不安だ、とうったえておられる。なぜか。それは、自分たちの子どもは、地いきでは安しんして生きられない、そんな地いきになっていない、という不しん感をもっておられるからだ。だから、たいへん重い障がいのある人も、地いきで安しんしてくらせるしくみを急いでつくるひつようがある。そのために、国は高れい者せいどを進める上でつくった「ゴールドプラン」のようなわかりやすい政さく目ひょうを作り、その中で医りょう的ケアも求める障がい者を地いきでどんな風に支えるか、をわかりやすく伝え、それをじつげんすべきである。
<項目D-3 社会参加支援(サービス)>
論点D-3-1) 障害者の社会参加の点から就労・就学に際しての介護、通勤・通学の介護が大きな課題との指摘があるが、総合福祉法のサービスでどこまでカバーすると考えるか、その際、労働行政や教育行政との役割分担や財源をどう考えるか?
○結論
 おや会ぎとの合同さぎょうチームの場で検とうする。
○理由
 教いくの保障、労どうの保障も、それぞれの分やでちゃんと守られなければならないから。
論点D-3-2) 居場所機能など広く仲間との交流や文化芸術活動などについてどう考え、確保していくための体系はどう考えるか?
○結論
 「○○したい」をかなえるための支え(日中活動)の一つとして考えるべき。
○理由
活動を細かくわける必ようはない。あえてわけるのであれば、「日中活動」の一つとして、昔の精しん障害者ちいき生活支えんセンターのような、ゆるやかな「いばしょ」「たまり場」の機のうをふっかつさせた方がよい。
<項目D-4 就労>
論点D-4-1) 「福祉から雇用へ」の移行はどこまで進んだのか?これまでの就労政策の問題点をどう考えるのか?
○結論
○理由
論点D-4-2) 福祉的就労のとらえ直しを含む、これからの就労の制度設計をどう考えるのか?
○結論
○理由
論点D-4-3) 既存の労働行政における取り組みとあわせて、福祉と労働にまたがるような法制度については、どこで議論していくべきか?
○結論
○理由
<項目D-5 地域での住まいの確保・居住サポートについて>
論点D-5-1) これまで地域移行の障壁になってきた住宅問題を解決するために、具体的にどのような方策が考えられるか?
○結論
 入しょ施せつとおなじような、一つの場しょにたくさんの人を「あつめる」考えかたをやめ、ひとりの住まいを中しんとした住たくの支えんをするべき。また、そういう「一人住まい」をグループ単いで支えるグループ支えんも考えるべき。
○理由
 障がいのないひとは、家ぞくではないおおぜいの他にんといっしょにくらさない。障がい者を「あつめる」考えかたは、すくないスタッフでおおくの障がいしゃを管りしようとする考えかた。グループホームであってもたとえば10人いじょうを「あつめる」考え方は、施せつと同じだ。この考えかたは、権り条やくとも正はんたいの考えだ。だから、他の人とおなじように障がいがあるひとも、自分でかぎがかけられる「こしつ」や「ひとり住まい」ないし「好きな人との住まい」が守られるべきだ。
論点D-5-2) 地域での住まいの確保の方策として公営住宅への優先枠を広げる方向で考えるべきか?
○結論
 そのとおり。
○理由
 入しょ施せつに今いる障がいのある人が地いきでくらすためには、かなり住まいの場がたりない。むかし、入しょ施せつをつくるためにたくさんお金(予算)を使ったのと同じように、今は地いきでの暮らしの場をたくさん用いすべきだ。そのために、公えい住たくも新たにたくさんつくり、その優せんわくも広げるべきだ。
論点D-5-3) また、公営住宅が質量共に不足する現実がある中で、障害がある人のアパートなどの一般住宅の確保の為にどのような対応が必要か?(家賃等の軽減策や借り上げ型賃貸住宅等)
○結論
 できる対さくは、なんでもためしてみた方がいい。
○理由
 公えい住たくを新たにつくるお金がもしも足りない場あいは、民かんのアパートやふつうの住たくをかくほすべきだ。ただ、障害のある人に配りょした住まいにするための手なおしや、おおやさんが安心して貸せるような支えんなども、あった方がいい。
論点D-5-4) 居住サポート事業の評価とさらに必要とされる機能・役割にどのようなことがあるか?
○結論
 この事業を活ようできている市町村はすくない。その理ゆう分せきをちゃんと行うべきだ。
○理由
論点D-5-5) グループホームとケアホームについて、現状の問題点は何か?また今後のあり方をどう考えるか?
○結論
 グループホームが「ミニしせつ」になりつつあることが、おおきな心ぱいである。一人ひとりのくらしをささえる個別ケアが、グループホームであってもなされるため、パーソナルアシスタントをつかえたり、いろいろなくふうがひつようだ。
○理由
私が7年前にスウェーデンをしらべたときも、「ミニしせつ」のことがもんだいとなっていた。それをふせぐため、スウェーデンでは、グループホームをつぎの三つにわけていた。1,4人くらいまでの、医療的ケアなど支えんがたくさん必要な人のためのグループホーム(グループホーム単独建設型) 2,アパートのある階の部屋が一人ひとりの住まいで、ごはんの時はスタッフのいる部屋にあつまるかたち(集合住宅の「ワンフロア独占」型) 3,101号室や305号室などにわかれて住み、ごはんの時はスタッフのいる部屋にあつまるかたち(集合住宅の「階段形式」型・「サテライト」型)。こういう住まい方もせいどとして保しょうした方が良い。
 参考:「スウェーデンではノーマライゼーションがどこまで浸透したか?」
 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/other/takebata.html
<項目D-6 権利擁護支援等>
論点D-6-1) 「本人が必要とする支援を受けた自己選択、自己決定、地域生活」を実現していくためには、どのようなサービス体系が必要と考えるか?
○結論
 障害のある人の権りを守るためには大きく分けて次の3つがひつよう。
1,利用者の日々の権利をまもるしくみ
(ピアサポートやセルフアドボカシーの支えん、本人からの相だんに基づく支えん)
2,権利が守られていないうたがいがあるケースについての、調さや改ぜんにむけた活どう
3,じっさいに権利が守られず、ひがいを受けた人への救さいのしえん
○理由
 わたしは次の本のなかでそのことを詳しく説明しています。『障害者総合福祉サービス法の展望』(ミネルヴァ書房)の「第7章 不服申立てシステムと権利擁護システム」p308~313
論点D-6-2) 権利擁護を推進していくためにはどのような体制が必要か?相談支援やエンパワメントの事業化についてどう考えるか?
○結論
 人口10万人くらいに一つ、障がい者のピアサポートやエンパワメントの取り組みをする場(地域障害者エンパワメント事業)をおく。また、都道府県もしくは政令指定都市にひとつ、権利を守るセンター(広域型権利擁護機関)をおく。
○理由
 論点D-6-1でのべた3つのしくみのうち、ピアサポートやエンパワメントに関する1の部分は、10万人にひとつくらい必要です。それ以外の2と3の部分は、もう少しはんいを広げて、専もん的な調さもできる場としておくべきです。そのことについても詳しくは、論点D-6-1で参こうにあげた本にも書いています。
論点D-6-3) サービスの質の確保等のための苦情解決と第三者評価の仕組みについてどう考えるか?
○結論
 入しょ施せつや精しん病いんについては、精しん医りょうオンブズマンや施せつオンブズマンのような、市民による第三しゃによるチェックが新たにひつよう。今の苦情解決のしくみがよいかどうか、は検しょうする必要がある。
○理由
 質のかくほのためには、ちがう立ばの人による、ふくすうの目でのチェックがひつようだ。行政は、法にひっかかるかどうかのチェックをする(行政監査)。それ以上の質のチェックは、情ほうの公かいはもちろんのこと、それ以がいの訪もんによる調さや苦じょうを受け付けるしくみなどが、求められる。特にへいさ性のつよい精しんか病いんや入しょしせつには、大阪で行われていた精しん医りょうオンブズマンのようなしくみの制ど化がひつようだ。また、今、社会福祉きょうぎかいで行われている「運えいてきせい化委員会」が、じっさいにどれほど役にたっているのか、は検しょうする必ようがある。
<項目D-7 その他>
論点D-7-1) 「分野D 支援(サービス)体系」についてのその他の論点及び意見
○結論
○理由
(分野E 地域移行)
<項目E-1 地域移行の支援、並びにその法定化>
論点E-1-1) 条約では、「特定の生活様式を義務づけられないこと」とあるが、これを確保するためにはどのようなことが課題にあるか?また、地域移行の法定化についてどう考えるか?
○結論
なんらかの地域移行の法定化はぜったいに必要だ。
○理由
 今の法でも地域移行はうたっている。でも、じっさいにその数はあまり減っていないし、新しく病いんや入所しせつを求める「たいき者」も少なくない。条約のなかみをほんとうに守ろうとするなら、施せつや病いんではなく、ちいきでの暮らしをほしょうするための、ぐたいてきな支えの方さくを法りつでつくったり、新たな入しょはみとめないことなども法に書きこむべきかも検とうするべきである。
論点E-1-2) 入所施設や病院からの地域移行に関して具体的な期限や数値目標、プログラムなどを定めることは必要か?
○結論
 ひつようである。
○理由
 障がい者や家ぞく、国民にむけて、期げんや目ひょう、そのためのプログラムなどを約そくしないと、この問題は解けつしない。スウェーデンでも、地域移行をすすめた際、施せつをなくすための法りつを作ったり、その期げんを具たい的にさだめていた。いまこそ、日本でもそういう約そくをすることが求められている。
論点E-1-3) 地域移行を進めるために、ピアサポートや自立体験プログラムなどをどのように整備・展開していくべきか?
○結論
 論点D-6-2)でのべた「地域障害者エンパワメントじぎょう」のなかで、ピアサポートや自立体験プログラムなども、その地いきにくらす障がい者が中心となって行われるべきだ。
○理由
 施せつや病いんで長くくらすうちに、地いきでの生活をあきらめた人がたくさんいる。そういう人たちには、地域でくらすなかまによるピアサポートが、大きな効かがある。また、じっさいに体けんする場をていきょうするのも、たいせつだ。そういう場は、障がい者が主たい的にうんえいすることで、地域移行のおおきな推しんの役わりにもなる。
論点E-1-4) 長期入院・入所の結果、保証人を確保できず地域移行が出来ない人への対応として、どのような公的保証人制度が必要か?
○結論
 まずは保しょう人がいなくても住める公えい住たくの数をふやすことがたいせつ。その上で、足りないばあい、何らかの公てきな保しょうのしくみを考えるべき。
○理由
 論点D-5-2)でも述べたが、まずは今まで入しょ施せつや精しんか病いんに使ってきたお金を、障がい者の地いきでの暮らしに使うため、公えい住たくの増かが求められる。公てき保しょう人が必ような人は、その住たくにまっさきに入れるようにすべきだ。それでも入れない人のためには、論点D-5-3)で述べたようなしくみがひつようだ。そのなかで、おおやさんも安しんして貸しだせるしくみにしたらよい。
論点E-1-5) 地域移行をする人に必要な財源が給付されるような仕組みは必要か?また、どのようなものであるべきか?
○結論
○理由
論点E-1-6) 地域移行における、入所施設や病院の役割、機能をどう考えるか?
○結論
 基ほん的には、施せつや病いんの職いんもふくめて、ちいきに移る(地域移行す)べきである。ある一定の期かんがすぎたあとは、施設・びょういんは大きくへらし、たいへん限てい的なうしろ支え(バックアップ)役わり以外はなくすべきだ。
○理由
 権利じょうやくでは、「○○障がいだから施せつ・病いんでくらせない」ということは問だいであるとしている。ならば、どんなに重いしょうがいがあっても、ちいきでくらせる仕くみが必ようだ。また、施せつや病いんで働くしょくいんも、ちいきではたらくためのトレーニングをしたうえで、ちいきに移るべきだ。そのあたりは、入所しせつをなくしたスウェーデン、精しん病いんをなくしたイタリアの例などをみならうべきだ。なお、そのさい、家ぞくのふたんやふあんをふやさないように、重ど障がい者であっても、家ぞくをあてにしない支えん体せいを、作ることがぜったいに必要だ。
<項目E-2 社会的入院等の解消>
論点E-2-1) 多くの社会的入院を抱える精神科病床からや、入所施設からの大規模な地域移行を進める為に、何らかの特別なプロジェクトは必要か?
○結論
 ひつようである。
○理由
 これまでの入しょ施せつや精しんか病いんにふりむけてきたたくさんのお金を、ちいきにふりむけ、重てん的に使うための、10年たんいくらいの特べつなたいさくが必ようだ。
論点E-2-2) 現実に存続する「施設待機者」「再入院・入所」問題にどのように取り組むべきか?
○結論
 なぜそういう人がいるのか、そういう人は何をもとめているのか、どうすれば施せつでのくらしをしなくてもいいのか、をちゃんとしらべるべきだ。
○理由
 きほんてきに、この問だいは、ちいきでの支えんのしくみのうすさ、少なさが理ゆうとして考えられる。であれば、そういう人の声をきくことによって、どういうことをすれば、あらたに、あるいはふたたび施せつや病いんに入るひとをへらすことができるか、の対さくをかんがえることができる。それは、ぜひとも来ねんどからでも、まず行うべきだ。
論点E-2-3) また、「施設待機者」「再入院・入所」者への実態調査と、何があればそうならなないかのニーズ把握は、具体的にどのように行えばよいか?
○結論
 それぞれの施せつの「待き者リスト」を県レベルでもらい、そのリストについて調さする。あるいは市町村の自りつ支えん協ぎ会で、あてはまる人についての調さをする。
○理由
 施せつや病いん「しかない」とおもう人がいることは、そのちいきでの支えんの仕くみが不そくしていることでもある。であれば、県や市町村がちゃんとその事じつと向きあうような調さをする必ようがある。とうぜんそのための予さんは、国から県や市町村にむけてしはらうべきである。
論点E-2-4) 上記の調査を具体的な施策に活かすためには、どのようなシステムを構築すべきか?
○結論
 施せつや病いんにくらす人、それを求める人の調さは、わけずにひとかたまりのものとして考え、ちいきいこうの「10年たんいくらいの特べつなたいさく」のなかに入れるべきだ。
○理由
 論点E-2-1)の理由とおなじ。
論点E-2-5) スウェーデンでは1990年代初頭の改革で一定期間以上の社会的入院・入所の費用は市町村が持つような制度設計にした為、社会資源の開発が一挙に進んだ。我が国でもそのような強力なインセンティブを持った政策が必要か? 必要とすればどのようなものにすべきか?
○結論
 ひつようである。
○理由
 よく「お金がたりない」ということばを、何もかえない理ゆうにきく。でも、ほんとうにお金がたりないなら、障がい者のために効かてきに使うことを真っ先に考えるべきだ。社かい的な入いん・入しょは、ちいきでくらすより、効かてきではなく、かつまあまあ高いお金がかかる。ならば、それをやめるための政さく(政策誘導)はあってしかるべきだ。
<項目E-3 その他>
論点E-3-1) 「分野E 地域移行」についてのその他の論点及び意見
○結論
○理由
(分野F 地域生活の資源整備)
<項目F-1 地域生活資源整備のための措置>
論点F-1-1) 地域間格差を解消するために、社会資源の少ない地域に対してどのような重点的な施策を盛り込むべきか?
○結論
 地いき移こう、地いき生かつ資げん整びに関する特べつなたいさくをするべきだ。
○理由
論点E-2-1)でもふれたが、これまでの入しょ施せつや精しんか病いんにふりむけてきたたくさんのお金を、ちいきにふりむけ、重てん的に使うための、10年たんいくらいの特べつなたいさくを、そう合てきに行うべきである。
論点F-1-2) どの地域であっても安心して暮らせるためのサービス、支援を確保するための財源の仕組みをどう考えるか?
○結論
 国がいちりつの上げんを決めるのではなく、必ような人に必ような介じょのお金を支はらう保しょうをするべきだ。
○理由
 お金のない、障がい者のすくない自ち体ほど、国のきじゅんを、自分たちの町の上げんにすりかえてきたれきしがある。それをさせないための財げんのしくみがもとめられる。ただ、①必ような人に必ような介じょのお金を支はらう保しょうをする、だけでなく、論点F-1-1)でみたように、②かくさをなくすための特べつな対さくも、セットでおこなうべきだ。
論点F-1-3) 地域移行や地域間格差の解消を図るため、地域生活資源整備に向けた、かつての「ゴールドプラン」「障害者プラン:ノーマライゼーション7カ年戦略」のような国レベルのプランが必要か?あるいは何らかの時限立法を制定する必要があるか?
○結論
 ひつようだ。
○理由
 論点F-1-1)とおなじ。
論点F-1-4) 現行の都道府県障害福祉計画及び市町村障害福祉計画についてどう評価するか?また、今後のあり方についてどう考えるか?
○結論
 いまのままでは不じゅうぶん。おおきくかえるべき。
○理由
 今の計画は、「そのちいきにおける解けつがむずかしいケース」を解けつするためのものになっていない。F-2でとりあげる自立支援協議会とつなげて、もっと役だつ計かくにすべき。
<項目F-2 自立支援協議会>
論点F-2-1) 自立支援協議会の法定化についてどう考えるか?また、その地域における解決が困難な問題を具体的に解決する機関として、どのように位置づけるべきか?
○結論
 自立支えん協ぎ会がちゃんと動くような法てい化と、財げんの支えんをすべき。
○理由
 論点E-2-1)、論点F-1-1)で述べた、地いき移こうや地いき生かつ資げん整びは、自立支えん協ぎ会でちゃんと検とうされるべき。よって、この協ぎ会で決めたことが、福祉計かくに反えいされたり、あるいは実さいの資げんせいびに使われるようなしかけとすべきだ。上にかいた二つのプロジェクトのお金も、ここである程ど使えるようにするのはどうか。
論点F-2-2) 自立支援協議会の議論から社会資源の創出につなげるために、どのような財源的な裏打ちが必要か?
○結論
 論点F-2-1)と同じ
○理由
論点F-2-3) 障害者福祉の推進には、一般市民の理解と参加が重要であるが、それを促す仕組みを自立支援協議会の取り組み、あるいはその他の方法で、法律に組み込めるか?
○結論
 今の自りつ支えん協ぎ会でも、努力すればできるが、何からの予さん上の応えんは必要。
○理由
 今の自りつ支えん協ぎ会は、何のために必ようか、があまり理かいされていない。それは、自治体の担とう者の理かい不足や、この協ぎ会のつくりかたのまずさによる部分も少なくない。自治体に障がい者のじっさいのくらしがわかるソーシャルワーカーが配ちされたら、そういう部ぶんも大きく変わるはずだ。先の論点C-3-3)でも書いたが、そういう人ざいを育てることは、ぜったいに必ようだ。
<項目F-3 長時間介助等の保障>
論点F-3-1) どんなに重い障害があっても地域生活が可能になるために、市町村や圏域単位での「満たされていないニーズ」の把握や社会資源の創出方法はどうすればよいか?
○結論
 ちいき自りつ支えん協ぎ会で調さができるような予さんがつけられるべきだ。
○理由
 論点F-2-1)とおなじ。
論点F-3-2) 24時間介護サービス等も含めた長時間介護が必要な人に必要量が供給されるために、市町村や圏域単位での支援体制はどのように構築されるべきか?
○結論
論点F-4-1におなじ。
○理由
<項目F-4 義務的経費化と国庫負担基準>
論点F-4-1) 障害者自立支援法では「在宅サービスも含めて義務的経費化」するとされたが、国庫負担基準の範囲内にとどまっている。そのため、国庫負担基準が事実上のサービスの上限になっている自治体が多いと指摘する声がある。このことに関する評価と問題解決についてどう考えるか?
○結論
論点C-2-2)とおなじ。だが、もう一度かいておく。これを参こうにしようねという基準は、これを守らなければならないという上限に、これまでなんども変わってきた。そのたびに、障害のある人たちは、怒りの声をあげてきた。同じことをくりかえさないためにも、基準をこえる支えんを必要とする人にちゃんと必要な量と質のサービスがとどくための基金を考えるべきだ。
○理由
来年の予算はいくらくらいになるかわかっている必要がある。そして、障害のある人の福祉にかかる予算がいくらか、基準がないとわからない、という人がいる。たしかにそういう一面もあるが、それだけが正しいのではない。新法ができてからは、5年か10年の間はたしかに予算は毎年増えるだろう。でも、必要なニーズが満たされたら、予算の伸びはおさまる。高齢者と違い、障害者の数とわりあいは、ほぼ一定だ。90年代に高れい者福祉でゴールドプランを立てたように、どこかで予算を沢山用意して、不十分な地域の障害者福祉の状況をかえる必要がある。
<項目F-5 国と地方の役割>
論点F-5-1) 現在、障害者制度改革の中では、「施設・病院から地域生活への転換」「どの地域であっても安心して暮らせる」方向が目指されている。一方、地域主権改革では「現金給付は国、サービス給付は地方」との一括交付金化の考えが示されている。障害者福祉サービスに関して国と地方の役割をどう考えるか?
○結論
 「他の者との平どう」を守るサービスは、どの地いきであっても同じように保しょうされるべきもの(ナショナル・ミニマムやシビル・ミニマムにあたるもの)。なので、地方の自由にまかせるべきではなく、国として守るべき。地方にまかせるのは、それ以上の「よりよいサービス」をするためのやり方について、であるべき。
○理由
 障害のある人に権利として守られるべき部分までを地方の自由さいりょうにまかせてはいけない。地方が独じに判だんしてよいのは、上を守ったうえで、それいじょうの「より良いサービス」を作ろうとするこころみ、である。このふたつをちゃんと分けて考える必ようがある。
論点F-5-2) 障害者権利条約の第19条を受けて、推進会議では「地域生活の権利の明文化」を求める意見が多数であった。地域の実情や特色にあったサービス提供と、この「地域生活の権利」を担保していくためのナショナルミニマムのあり方についてどう考えるか?
○結論
 「たの者との平どうのくらし」の保しょうは、「地いきの実じょう」よりも、ゆうせんして考えるべきである。
○理由
「地いき生かつの権利」とは、「どこで、だれと、どのようなくらしをするか」を本にんが決められる権利である。これはどの地域であっても、ほしょうされなくてはいけない。「この地域ではこういう重い障がいの人はくらせません」という言いわけのために、「地いきの実じょうや特しょく」が使われてはならない。
<項目F-6 その他>
論点F-6-1) 「分野F 地域生活の資源整備」についてのその他の論点及び意見
○結論
○理由

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。