パッチ隊の冬

とうとうはいてしまいました。パッチを。

そう同僚に切り出したのだが、「パッチって何ですか?」と問われる。あれって関西弁だっけ、と思いながら、股引です、と答えると、「ああ、ババシャツの男版ですね」とのお答え。そうです。甲府の冬は本当に寒くって、薄っぺらいスーツの下にはこういう股引でもないと、もうやってられない季節になってきた。それを二年のゼミで「告白」すると、「俺もっすよ」とばかり、ジーンズの下にあるジャージを学生さんは見せてくれた。老若男女、甲府は皆、パッチ隊なのである。

明日で授業は一応年内は終わり。しかも年明けも二週間授業期間の後、テスト。そう書けば、実に楽そうに見えるが、全然楽ではない。今日、教授会の後にスケジュール管理をしていて、顔が段々悲壮になってきた。なぜって、1月末の研究会までに、全面的に書き直し報告書1本+全く手つかず報告書1本、が待っている。しかも、家に帰ってみたら、1月末〆切で別のレポートの依頼が届いていた。そういえば、それに関連した、よその報告書の〆切も1月末・・・。死にそうだ、やばい。年末は30日から妻と僕の実家に帰省することを考えると、29日までみっちり働いて、年始も5日あたりからフル稼働しないと間に合わない。しかも、前回の研究会でのコメントは相当厳しいものがあり、まあどう書き直さなければいけないか、という方向性は定まったが、一から書き直すように相当手を入れなければならない。これはのんびり一息つくのは年度末までお預けだ。でも年度末にはせっかくだから海外に調査もいきたよなぁ・・・。などと考えていると、結局自分の首を絞めるようで恐ろしい限りだ。

そうなってくると、以前にも書いたが、いよいよ「自分へのアポイントメント」が大切になってくる。今日は学内で研究会があったのだが、発表された先生も、コメントを寄せられた先生方も、皆さん僕より遙かにお忙しいはずなのに実にエッジの効いた刺激的発表および議論が展開されていた。こういう場に最近真面目に足を運んでいなかったタケバタとしては議論について行くのに必死になりながら、「こういう勉強のために自分がどれほど時間的・密度的アポイントメントを取っているのか」について反省することしきりだった。

誰しも「忙しい」。でも、その中でもこういう濃度の高い「お仕事」をキリッとこなす先生方と、とにかく目の前の事を追いかけているうちに忙殺されるタケバタ。超有名なコヴィーの「7つの習慣」の中に出てくる時間管理の4つのマトリックス(緊急度と重要度の大小で4つに分類する)で言うならば、「緊急度大+重要度大」のものばかりになっていて、「緊急度小だけれど重要度大」という部分が出来ていない。コヴィーが言うように、「緊急度大で重要度大」というのは、単に〆切が迫ったものが多く、時間管理や優先順位決定が適切になされて、空き時間に早めにこなしていたら、その課題に振り回されなくていいことが多い。そして、それらの〆切が迫ったものの陰でついつい後回しになる「緊急度は小さいが自分の手がける仕事として重要度が高いもの」(タケバタで言えば研究のインプットとアウトプット)にどれだけ時間的リソースを分配できるか、でその人の将来の成果が変わってくる。ならば、ちゃんとそういう「緊急度小で重要度大」のものにどれだけ意図的に時間を振り分けられるか、それを自分へのアポイントメントとして確保しておかないとまずい、そういうことなのだ。やれやれ、説明できるのに実行していないや。情けない。

というわけで、この冬は、真面目に仕事場に出かけ、コリコリ報告書作成にいそしもう、という思います。忘れていたけど、1月末は、7割くらい書いて放ったらかしてある別の報告書の〆切でもあった。ああ、こりゃ、ほんと死ぬね。しかも教員としてはセンター試験のお仕事もあったっけ。何かと来月にかけて忙しい。風邪を引かないようにパッチをはいて、パッチ隊タケバタの冬は「お仕事の冬」になりそうだ。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。