遅い夏休み

 

ようやくブログ画面を起動させることが出来た。

この2週間、前半は、といってすっかり記憶がなかったので、あわててgoogleカレンダーを見てみる。そうそう、9月第一週も三重に行き、その後東京でのお勉強会もあり、第一週の週末は7日〆切の国際学会のアブストラクト(たった300wordsなんだけど)でてんやわんや、その後、1週間、ようやくの「夏休み」をとったのでありました。

夏休みは、パートナーがアウトレット三昧を所望し、僕は温泉でゆっくり、だったので、その希望を満たすために、那須会津新潟と小トリップ。初日に入間佐野、二日目に那須のアウトレットをみる、という3カ所制覇をすると、だいたい同じ店が入っていることもあり、いい加減飽きてくる。ただ、以前から僕は妻についていったアウトレットでのみ服を買うパターンになっているので、今回もご多分に漏れず。以前八ヶ岳アウトレットで買ったローライズジーンズで腰を痛くしそうになったので、普通のジーンズを二本。それからスニーカーがカリフォルニアで「ジム用に」と急場しのぎで買った白のものしかなかったので、以前から気になっていたアシックスの「ハダシウォーカー」を購入。入間までスリッパで来てしまったものの、アウトレットを歩いているうちに足が痛くなっていたのだが、この靴は、ものすごく軽くて良い。以後の旅ではスリッパはしまわれ、早速活用される。それと、中敷きが取れてぐちゃぐちゃになってしまった仕事靴の代わりとして、クラークスの履きやすい靴もゲット。生活必需品のみを購入し、程なく終了。

その後、那須高原のペンションに泊まり、那須という場所が清里以上にツーリスティックな避暑地であると初めて知る。9月の平日なのに、子供連れも多い。遅い休暇はどこも一緒のようだ。で、このペンションで朝風呂に入りながら今回、持参した三冊のうちの、「悲鳴をあげる身体」(鷲田清一著、PHP新書)を読了。鷲田先生の身体論は何冊か読んでいて面白いと思っていたが、この本を読んでいて、彼のファッションへの視点が非常に興味深かった。アウトレットを何軒も回ると、「流行」に左右されて廃盤品となった残骸に触れる訳で、そこを何軒も回ると、服というものは何なのだろう、とゲンナリしてくるのだが、「服に着られる」のではなく、服を着る「身体」に着目し続けている彼の論調は実に面白い。今まで避けて読まなかった氏のファッション論も帰ったら早速読みたくなってきた。

翌日は那須のアウトレット経由で南会津の湯ノ上温泉へ。一日4組しか泊めない、というこじんまりとした民宿で、のんびり何度も風呂に浸かる。そして、浸かりながら読み始めたのが「日と月と刀」(丸山健二著、文藝春秋)。上下巻の分厚い歴史小説。著者も浅学な私は知らなかった。たまたまとあるブログで絶賛されていたので、手にとってみたのだった。この本を読みながら、翌日は会津若松のビジネスホテルにとまり、その翌日は新潟の熱波温泉へと場所を移し、読み続ける。そして、昨日読了。

一言で言うとシュトルムウントドランク(疾風怒濤)というべき、大スペクタクル。室町時代の激動・かつ波乱な人生を駆け抜けた男の一生を書ききった大作である。先のブログで「生涯に何度も何度も読み返すことになるに違いない小説」と紹介されていたが、なるほど、フロンティアたらんと荒野を一から開拓してきた人にとっては、自身と重なる部分も多いのかも知れない。これを読んでいて、一代記、というジャンルを思い出していた。たとえて言うなら、パール・バックの「大地」とか、司馬遼太郎の「空海の風景」とか。視点も着想も文体も含めて、激流に呑み込まれていく楽しさを堪能していた。

その間にも、ちゃんと観光、というか、相変わらず買い物も堪能してしまいました。会津では焼き物と塗り箸、それから醤油に味噌に酒と買い込み、最終日に立ち寄った寺泊漁港では、帰宅後に天ぷらにしたキスと、生で食べた甘エビとタコ(この二つは残ったので土曜の昼に海鮮パスタにする)、そしてアンコウも買い込む。安くて、うまい。そんな訳で、帰ったらすっかり1キロ太って帰ってきたのだった。いかん、いかん。

ただ、おかげさまで、ようやく前期の間の身体と心の疲れは取れたようだ。明日からはまた三重西宮と出張で、週の後半は授業の仕込み、で、再来週からは後期の再開! あれま、疲れが取れた、と思ったら、もう再び後期の授業なのですね。ようやく研究も本調子にならなければというところだったのに。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。