二重の誤解

 

久しぶりに、何も予定のない三連休。こういう時でなければ、出来ないことがある。

例えば、観葉植物の植え替え。あれは確か7年ほど前のこと、大阪のお母さまと勝手に思慕させて頂いているMさんから、観葉植物の株を分けて頂いた。その名は、確かドラゴン・ツリー。日光さえきちんと与えていなければ、あまり水やりをしなくても、すくすく育つよ、といって、Mさんのご自宅で見せて頂いたのは、天井に届きそうなほど、大きな鉢植えに育った立派な「樹木」。その一部を株分けして頂いたのだ。

以来、西宮時代に一度、近所の花屋で植え替えを手伝ってもらい、山梨に来て二年目くらいに、大学の近所の花屋で一回り大きな鉢植えに植え替えて、幹はひょろひょろではあるが、育ってきた。窓際の隅、と言っても、あまり日もあたらず、家主(=つまり私)は気が向いた時しか水もやらず、夏は締め切っていたら30度以上はある暑いマンション最上階で暮らしているのに、何とか枯れずに育ってきたのである。バジルを枯らし、クワズイモも根腐れ、サボテンまで枯らしたこともある我が家では、例外中の例外と言うべき快挙。食卓では切り花を切らさぬようにしているが、それ以外では我が家の唯一の生存する緑、である。

この貴重な観葉植物は、どうも最近よりひょろひょろ伸びていき、以前買った接ぎ木も越してしまった。そこで、ようやくこの連休のタイミングを利用して、以前酒折にあった花屋の本店に電話して持ち込む。今は昭和町に移動したので車で30分ほど。たった30分、なのだが、この面倒くささを乗り越えるには、たっぷりとした時間的余裕が必要なのだ。

で、専門家の前に持ち込んでみて、二重の意味で誤解していることがわかった。

誤解その1:植え替える必要はないこと。
ひょろひょろ長く伸びる様子を一目見て、オーナーとおぼしき女性が一言、「日照不足ですね」。日の光が少ないから、光合成をする断面を増やそうと、ひょろひょろ伸びているのだ。だから、茎も痩せている。故に、植え替えも必要ない。下手に大きな鉢に入れると、水がなかなか下まで落ちず、逆に根腐れの原因になる、とのこと。今は茎も根も大きく育てるのが大切なようだ。よって、ひょろひょろ伸び、の対策も、変わってくる。一本の添え木を外し、4本の竹を鉢の四隅に差し込んで、もう一方の端っこを真ん中でまとめてツリー上にしたものに螺旋階段的に巻き付けるべし、とのこと。こうして、幹が太くなるのを待った方がよいそうだ。なるほど。

誤解その2:名前の間違い。
ドラゴンツリーと信じ込んできたのだが、花屋に行く前にネットで調べてみると、そんな名前は出てこない。なんだろう、と思ってお姉さんに聞いてみると、「姫モンステラ」と書いて鉢に刺してくれた。7年間も、名前を間違っていたのですね。たいそうスンマセン。

というわけで、指導料も払えないので565円の液体肥料だけを買い求め、帰りにホームセンターで竹を買い、今日は我が家で補強作業と水やりをしてみたら、少しずつお元気になってこられた。もう少し光も当てて、我が家の「姫」が育つ支援が必要なようだ。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。