観念の虜

大阪から帰ってきた。グッタリ疲れる。

長野に一泊二日で出かけ、いったん甲府に戻ってきてから、今度は大阪に一泊二日。どちらも一泊だが、気分的には三泊四日くらい疲れている。挙げ句の果てに、甲府からの良くないニュースも重なり、電車が甲府に着いた頃にはイライラつんつん。これはよろしくない、と思い、入れ替わりに会社の同僚と遊びに出かけるパートナーを送った後、コイン洗車場へ。7月初旬の納車以来、3回目の洗車。一月半で2300キロほど走っていて、結構乗り回しているのだなぁ、と思いながら、虫や鳥の糞などが付いてしまったアクセラ号を洗車機にかける。その後は、から拭き。夕方で日差しは和らぐが、くまなく車体を拭いて、こびり付いた汚れを重点的に拭き取っていると、汗が噴き出る。中古車時代にこのような愛情は全く注がなかったのだが、新車と思うとなぜかこれほど気合いが入るのが不思議。

で、ホイルもついでに拭いていて、あーあ、発見したよ。バッドニューズの元凶である、奥さま曰く「下をこすった」傷を発見。下じゃなくて、横じゃん。前輪左タイヤが結構こすれて白くなっている。あの変化は相当ズリズリやったようだ。それだけでなくホイルの傷に、それから前輪の泥よけ部分がちらっと曲がっている。何でも路地に入ろうとしたら逆の一通で、でも後ろにも前にも車が来ていて、無理矢理路肩を越えようとしたら、段差を引っかけたそうな。その現場を通るが、結構な大きい段差。おいおい、ちゃんと見ておくれよ・・・とほほ・・・と腹は立つが、まあ致命的な傷でもなく、何より彼女は無傷なので、まあいいか。奥さまは出かけていてよかった。多分彼女がそばにいれば、絶対にチクチク嫌みを言って、喧嘩にでもなったろうに。

で、不思議なのが怒りの感情なるもの。今日はその他にも良くないニュースがあって、怒りのエネルギーは続いていたのだが、車を磨いて、その後ジムで一時間、体脂肪燃焼モードでバイクをこいでいるうちに、その怒りのエネルギーとしんどさと、マイナスの気分まで吹っ飛んでしまう。あの感情はいったい何処に行ってしまったのだろう? クルミを集めたことを忘れるリスのようだ。論理的に考えれば、致命的な傷ではなく、誰だって失敗することはあるし、あげくの果てに奥さまはまだアクセラ号に慣れていない。ならば仕方ない、とすっと思えればいいのだが、イライラの観念の虜になっている間は、「ちゃんと注意してよ」「どんくさいなあ」・・・など相手の立場を考慮しない身勝手な罵詈雑言が頭の中を飛び回る。しかし、身体をフルに使って観念の虜を体内から追い出してしまえば、先述の論理的な説明をすっと受け入れられる。この自分が「虜の中にいる」という意識化と、それを抜けるための「ワークアウトの技法」をきちんと構造化すると、きっとストレスフルな日々でも何とか対応できるんだろうなぁ、と思う。ダイエットだけでなく、メンタルヘルスの為にも、やっぱジムなりテニスなりは続ける方がいいんだなぁ、と再認識する。

すっかり暗くなり、お月様もきれいだなぁ、と思いながら、ジムからの帰りに石和のお祭りに遭遇。そういえば今年は夏祭りや花火大会に一度も行っていない。明日は石和で花火大会なのだが、奥さまはテニスの練習なので、それも行けない。実はこれにまつわる話が二つ目のバッドニューズなのだがあまりにもトリビアルなので書くことはしない。実にくだらない事で腹を立てているよなぁ、と思いつつ、くだらないことだからこそ、ロジカルに考えずに腹を立てているのかも。なんだお前、まだまだしぶとくネチネチ腹立っているのか、と思われるかもしれないが、これは虜の意識化の二つ目の戦術。題して「ネタにして忘れる」。ブログはこういう感情消費の題材にもなっているんだよなぁ。

そうそう、感情消費と言えば、先日会った方が、2ちゃんねるの掲示板で、感情消費の題材になって(単純に言えば誹謗中傷の的になって)困っている、とこぼしておられた。ネット上での感情消費は、このブログのように、自身のサイトで、記名式で、自身が責任を取る形での感情消費なら良いのだが、ああいう匿名サイトでの、無責任な中傷という形での感情消費は、される側はたまったものではない。気にしなければいい、というのは、あくまでも他人事であり、もしも自分のことが悪く書かれたら、相当しんどいだろうなぁ。心よりその先生に同情の意を申し上げる。無責任な誹謗中傷の垂れ流しは、明らかに観念の虜への埋没だ。そしてそういう行為を続けても、結局のところ、書けば書くほど、ストレスが溜まり、墓穴を掘っていくだけと思う。僕自身は体育会系では全くないのだが、「悪口書くより身体を使ったほうが、身も心もすっきりするよ」とこの件ばかりは声を大にしていいたい。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。