出かけてきます

あと1時間で自宅を出て、カリフォルニアへと旅立つ。

今回の目的はアメリカの権利擁護の実情についての調査。アメリカは日本と逆で、山ほど情報公開しているので、その中からどれが肝心なものか、を拾い出すのに随分苦労している。また、数日前から再び「夏バテ」がぶり返し、食欲も不振だし、身体はだるいし、で体調も万全ではない。出張が連続し、台風にも遭った為、ちょっと疲れが溜まっているのだろう。少しはカリフォルニアでゆっくり出来ればいいのだけれど・・・。

今まではスウェーデンやデンマークなどの北欧とのご縁はあり、院生の時から何度も訪れてきた。縁あって、2年前には半年イエテボリに住んでいたこともある。でも、これまでアメリカにはあまりご縁がなかった。それが昨年あたりから、少しずつ縁が出来て来て、去年はニューヨークの国連総会に障害者権利条約の特別委員会を傍聴しに出かけ、この三月と今回はカリフォルニアに権利擁護のことを調べに出かける。今まで日本と北欧、という二点比較をしてきて、それなりに見えている「つもり」だったが、アメリカも視野にいれた三点目の視点を得ることによって、見え方が全く違ってきたことがわかった。北欧、と名前を出すだけで「高福祉高負担」とお題目のように唱え、「北欧のようにはいかないよ」と即座に否定する福祉関係者も、アメリカの話をすると、「アメリカも、なんですか」と話を変えることもある。ま、それよりも、アメリカの福祉の状況を追いかけていると、new federalismのこと、権限委譲のこと、ケアマネのこと・・・など、日本がアメリカ型の福祉に近づいていることが、よくわかる。特に、今厚労省が検討している改革案は、アメリカのモデルを頭に入れておくと、非常に理解しやすい。

ただ、アメリカは「弱肉強食」という側面だけでなく、公民権運動の流れをくんだ、権利保障が充実した国、という側面もある。今回、カリフォルニアで調査するのも、例えば精神病院や入所施設にいる人々の権利をどう保証するか、地域移行を権利保障の観点からどう支え、政策に取り込んでいこうとしているか、などを調べてこようと考えている。そして、アメリカの実情に触れながら、「そういえばスウェーデンでは・・・」「いや日本では・・・」と三点比較をしながら、日本の福祉政策にどういう部分が足りないか、今後の日本の施策にどういう展開が考えられるか・・・などを考えるきっかけになれば、と思っている。

あと、夏休みが全くなかったので、小休止が出来れば一番いいのだが・・・。では、いってきます。
現地からも、ブログは書く、つもりではおります。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。