移住1周年記念

 

気がつけば甲府も梅の季節を迎えている。

ここしばらく報告書が重なって余裕がない日々が続いているので、気がつかなかったが、数日前からあちこちで、紅梅や白梅が咲き競っている。今日、韮崎に野菜を買いに出かけた折には、畑が紫色の絨毯になっている所や、黄色い花が色づいている場所もあった。もう、春だ。

ほんとなら家の近くにある梅林(不老園)にでも出かけて、くんくん梅の香りをかぎたいところだが、忙しいし、しかも花粉症なのでそうも行かない。もう15年以上前から重度の花粉症の僕は、気がつけば春は憂鬱な季節になってしまっていた。本来、ようやく寒さが薄らいで、芽吹きがあちこちに見られ、気持ちも高揚するはず、なのに、無粋なくちばしのような大型マスクは外出時にはかかせないし、しかも花粉を浴びたら、と思うとなかなか散歩にも行きたくなくなる。何だかある種の「恐怖症」のようになっている。実際、僕は本当に花粉症がひどくって、鼻はダラダラ、目は真っ赤、くしゃみ百連発、というのが以前の常識だった。春先は全くぼーっとしていて、何も手につかなかったのだ。

でも、さすがに仕事をし始めると、「花粉症休暇」なるものは貰える訳もない。そこで、様々な対応策を考えて、現在実施しているのは次の三つ。マスクは欠かさず、不必要な外出はしない。漢方を飲み続けて体質改善(昨年から継続中)。国外に逃げる。このうち、に関しては、逃げた先も花粉症ならシャレにならないので、なるべく対象外の国に逃げなければならない。運良く一昨年は3月20日までスウェーデンで暮らしていたし、昨年は2月末から3月はアメリカ調査だった。だが、帰国途中の機内でインフルエンザにかかって、その一週間後は甲府の引っ越しなので、死にそうだった。そして今年は再来週からタイに逃げる。やはり、花粉から逃げるに限るのだ。

で、去年の今頃を思い出すと、先週末で甲府在住1周年を迎えた。さきほど書いたが、3月1日に日本にインフルエンザと共に帰ってきて、9日が引っ越し日。その間に送迎会を5回くらい開催してくださる予定だったのだが、半分くらいキャンセルせざるをえなかったのだ(その時はすいません)。風邪で寝込んで、治ったらもう引っ越し準備が佳境で、必死に本をパッキングして、甲府に真夜中に到着。翌日荷物を引っ越し屋さんに運んでもらった後、妻も僕も茫然自失、というか虚脱感で、こんこんと眠る毎日だった。しかも、今から考えたら信じられないのだが、全く予定のない日々。毎日愛宕山をぼんやり眺めながら、とにかくうとうとしていた。その一年後、こんなにきりきり舞になるなんて思いもつかず・・・。どうやら少しは甲府に溶け込みだしたようだ。これから二年目、どういう展開になっていきますやら。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。