油差し

 

大学がはじまると、本業がハードな日々である。

ゼミの皆さんと久々に出会う。大学のゼミとは、互いに学びあう「場」であり、場の枠組みの設定者の教員(私)のやり方次第で、おもしろくもつまらなくもなる、と思っている。夏休み明けでブランクがあり、その後に場を眺めてみると、うまく行っている部分もあるが、何らかの補正が必要な場面もある。ゼミが進行し始めたら、基本的に各ゼミ生のもてる力を最大限生かせるよう、僕は「受け止める」側にまわるのだが、歯車と同じで、久しぶりに動かす際には、たまに潤滑油を注ぐ必要がある。とりあえず、今週は新入生研修、2年ゼミ、3・4年ゼミ、カレッジアスリート研修と、担当する4つの演習系授業で「油差し」の日々。

面白いもので、夏休み明けでぼんやりしている学生も、あるいは何して良いのかわからず当惑している学生も、油を差して、局面を展開させ、本来その学生自身が持っている目的意識に油を注いでみると、若いだけあって、すぐに良いレスポンスをし始める。いかに教員が上手に油差しすべきなのか、を痛感させられる瞬間だ。逆に言うと、それでもまだ活き活きしていない学生がいるとしたら、それはこちらの手のさしのべ方、関心の持ち方、油の差し方不足になってしまう。そういう意味では、ダイレクトにこちらの実力が相手に伝わってしまう、という意味で、この商売、なかなかシビアである。

学生さんもくたびれたろうが、僕自身も夏休み明け二週間で、結構へこたれた。甲府は今日は雨模様で、最高気温20度。急にぐっと秋模様、へとチェンジである。出張から帰国後、気温は下がるし、新学期は怒濤のごとく、だし、なかなか身体がついていっていない。そして、身体がその場になじんでいないと、心までぐったりと落ち込んでくる。ま、熟睡して、ゆっくり週末くつろげば、そのうち身体が慣れてくる、はずなのだが、週末は学会に、次の月曜日は東京での12時間会議!が続く。少なくとも、少し今日明日でペースダウンせねば、と思いながら、とほほな日々が再開してしまった。ま、こうやって流れにトボトボ身を任せるうちに、気がつけば僕自身も、この季節の変わり目の「場」になじんでくるのだろうが。

季節の変わり目は、眠いし、だるいし、どうも気持ちもふさぎ気味。今日は、お取り寄せのワインが届いたので、どっぷり飲んで、豚キムチ炒めwithにんにくたっぷり、でもつくって、今宵は自分自身への「油差し」でもしてみるか。でもでも、やっぱり体重も気になるしなぁ・・・

追伸:学生や教員、組織への「油差し」を大学全体で行っている名古屋大学の取り組みの最新版が公開された。このサイトのノウハウは、結構僕自身、勉強させてもらっている。僕自身への油差しのためにも、後でじっくり読んでいこう。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。