「タケバタって最近『増長』してるね」
大学一年か二年生の頃だったであろうか、バイト先の塾の教室長に言われたことがある。恥ずかしながら、その当時は「増長」の意味を知らなかったので、帰って辞書を引いてみた。そして、どっぷり沈んだ。
「増長=1 しだいに程度がはなはだしくなること。 2 しだいに高慢になること。つけあがること。」(大辞泉)
「高慢になっている」と指摘され、落ち込まない方がおかしい。しかも、それが「当たっていた」から、なおさらのことである。
当時は、バイト先で必死になって自分なりのスタイルを模索し、それがようやく見えてきた頃だった。教えていた学生達からも好評を得て、得意げになっていた。その塾の塾長が恩師の先生で、その人の背中を見て育った部分もあり、「塾長に教え方がそっくり」と言われると、得意げになったものだ。また、だからこそ、中間管理職の立場におられたその教室長に対して、自分が塾長であるかのような眼鏡をかけて見下ろし、驕り高ぶりの気持ちが出ていたせいであろう、「増長」、という言葉を指摘されたのである。
私には、「おだてられると図に乗る」、という性質がある。これは、例えば劣勢な情勢の時に、果敢に攻め込んでいく際の原動力になる。だが、一定の成果が出た時など、反転して「お調子者」となり、スキが出て、大失敗の原因にもなる。32年タケバタヒロシをやってきたので、そろそろこの機微は掴んできた。
その上で、何故このようなディスクロージャーをするのか。理由は簡単。今、多分「増長」しかかっている。「つけあがり」の機微があちこちに見え始めている。まだ「成果」など出ていないのに、「お調子者」になりかかっている。大きな枠組みでみれば「劣勢な情勢」には変わりないのに、情勢を読み間違えている自分がいる。アブナイ。
昔、母親に、「大人になったらしかってくれる人なんていいひんのよ」と言われたことを思い出す。
一定の立場を持つと、陰では言われているかもしれないが、面と向かって自身の問題点を指摘して貰えるチャンスがなくなってくる。もちろん、私だって立場ある方には、言わないし、言えない。逆もまた真なり、なだけだが、そうなれば、自分自身で気づくしかない。そう、アブナイのだ。自戒せねば。
お恥ずかしいディスクロージャーだが、胸に刻みつける為にも、負の情報開示、であった。