おしゃべりガッパと花咲じいさん

今日でようやく一区切りがつく。

先週の月曜日以来、ずっと働きづめだった。しかも金曜から月曜まで講演ツアー、そして今日は南アルプス市の市民講座、とこの1週間で5日も講演やシンポジウムのコーディネーターなどをしていた。もちろん通常通り火曜から木曜にかけて授業3コマとゼミや演習が4コマあって、その上にお客様も学生、同僚の先生、マスコミの方々と千客万来であった。まあよくしゃべることしゃべること。節操なくしゃべり続ける自分にあきれる。だが、さすがに身体はキツイようで、もうグッタリしている。それでもなんやかんやと今日もヒートアップしてしゃべっている自分はいったいなんやねん、と思ってしまう。

「なんやねん」と言えば、今日、生涯学習センターの方から、30分テープを頂いた。この前FM甲府の番組に出た時の出演テープだ。実は今度は山梨放送ラジオの30分番組の収録があるので、自分が以前出演したラジオ番組のテープを聴いて問題点をチェックしよう、と思ったのだ。夕方テープをもらい、南アルプスまで講演に行く途中に車内で聞く。ここでも、やはりタケバタはしゃべる、しゃべる、しゃべる・・・。聞き手のS先生の先導の元、まあ好き勝手にしゃべりまくっている。むむむ・・・。30分って意外と長いし、こんなにぎょうさんのネタをしゃべっていたのか、と感心しながら、聞いてしまう。以前は自分の録音した声が甲高くって大嫌いだったが、このときは意識的に低い声でしゃべったようで、まだ何とか聞くに堪えた。今度の収録では、低い声、センテンスと話は短く、簡潔明瞭な内容、の3点は心がけねば、と思う。実はこの3点が授業で一番出来ていない、と思うからだ。つまり、高い声で、話は長く、わけわからんまだるっこしさで・・・こりゃあこんな話を聞いたら、僕だったらイライラするよねぇ・・・。

そして、今日は3年ゼミの皆さんの夏休みの宿題の講評と、秋以後の課題について、の話し合いだった。1期生の皆さんは、ホントにがんばった。5000字レポートを全員ちゃんと書き上げてきたからだ。現場体験を言語化し、その中から課題点やキーワードを見つけようと模索している。それを、ゼミ生全員で講評しあい、次なる課題や、文章上の問題点などを指摘し合うのだ。こういう学び合い、お互いの意見のやり取りの中から、自ずと皆さんの課題が浮き彫りになってくる。やはり、ちょっと難しいくらいの課題の方が、格闘する中で皆さんのスキルがアップしていくし、これからもドンドン成長が期待できるだろう。

秋以後の3年ゼミでは2,3週に一度、本を読んでレジュメの発表、という課題を出していくが、皆さん関心のキーワードが絞れてきたので、その延長線上にある本の発表なら、「しんどいけれども不可能ではない」段階までやってきた、と思う。この「しんどいけれども不可能ではない」という課題と格闘する中で、もう一皮二皮向け、学びや発見、それを通じた喜びまでもがより深く形成されていく。人生は天秤だと思っているタケバタなので、学生さんの喜びの天秤を増やすためには、それに見合うだけの負荷(自分なりの努力)があってもよいと思っている。教員としては、その努力が無駄に終わらないように、きちんと適切に見守っていくことだ。

そう、僕の教育上の仕事は花咲じいさんでもある。学生さんの心の中に関心の芽を育て、ゼミ生の方々はその芽から大輪が咲くように支援すること、なのだ。たんなるペラペラしゃべり続けるおしゃべりガッパ、ではいかんのである。精進しなければ口ばっかり、となってしまう。気をつけようっと・・・。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。