44+12

 

今朝、国道58号線沿いの食堂「みかげ」で朝食を食べていた。
ここ2ヶ月ほどの忙殺スケジュールの「ご褒美」ではないが、つかの間のリフレッシュである。豆腐チャンプールが、朝から妙にうまかった。

そう、溜まったマイレージで夫婦二人分の国内旅行が行ける事になっていたので(それほど仕事で貯めてしまっていた)、初沖縄してみたのである。しかも、決めたのが、3月頭、ということもあり、飛行機はほぼ一杯。ようやくとれたのが、木曜午後1時羽田発、土曜午前11時45分沖縄発、という往復便。ということは、沖縄滞在がたったの44時間、である。ちなみにタイトルの+12、とは甲府-沖縄の移動時間である。片道6時間かけて出かけて、丸二日も現地に滞在できず、帰ってくる。実にあわただしい旅だが、しかし、本当に出かけて良かった。

昨年のちょうど今頃は、タイ、ミャンマー、ラオスの三カ国を巡っていた。そのときのブログにも書いていたかもしれないけれど、僕はアジア旅が基本的に好きである。なんてったって、日本に比べて、のんびりしていて、温かくて楽天的で、かつ食べ物が美味しい。この3拍子が揃っているのでタイにいきたい、という思いは強かったのだが、今回沖縄に出かけてみて、灯台もと暗し。沖縄も、立派にこの三拍子が揃っている。海やリゾート、という固定観念が強かったが、そういった要素のない「下見旅」でも充分楽しめたのだ。

そう、今回の沖縄はあくまで「下見旅」。直前に旅行を決め、まだ海のシーズンに早いので、泳ぐことも出来ない。しかも、タダの航空券のため、時間指定もままならない。たった44時間しか滞在できないから、リゾートホテルに予約しても、落ち着かない。なので、ホテルは那覇市の繁華街近くの、ちとこましなビジネスホテル。レンタカーも12時間でガソリン代をいれても5000円強、と大変リーズナブルな旅だった。でも、美味しい刺身も食べ、泡盛もたくさん頂き、デューティーフリーにアウトレットまで出かけ、夏物のジャケットまで買ってしまった。と書くと、こないだのカリフォルニアでスーツの話同様なんだかブルジョアチックなので、念のために申し添えておくと、ここ数年、服は最近アウトレットでしか購入せず、かつスーツやジャケットなどの「大学教員としての」基本的アイテムの持ち合わせはほとんどない。あか抜けない院生ファッションしかワードローブにはないので、まあ、この辺のお買い物は「必要経費」の範疇なのである。

お買い物といえば、こういう内地でも買えるもの、だけではない。最高気温27度の夏気分の中、道ばたで売られる沖縄の野菜や果物もたっぷりと買い込み、国際通りで典型的な観光客歩きも満喫する。市場では、沖縄仕込みの味噌も1kg買ってしまう。もちろん、自宅用の泡盛に、研究室で学生と食べるサーターアンタギーまで。こうやって現地でバクバク食べていると、去年のタイから帰国後なんか、ものの見事に太っていた。でも、沖縄料理は油を使っている割にはあっさりしていて、帰って体重計に乗っても、78キロ台をキープ。なんとか体重も許容範囲だし、明日以後再びせっせとジムに通えば、体重はまた元通りになるだろう。ほんと、よい気候と美味しい食べ物で、南国的雰囲気にすっかり身も心もほぐれていた。

だが実は、木曜日の段階では、かなり危なかったのだ。朝から扁桃腺はちょっと腫れているし、寒気もする。葛根湯を飲んで、厚着をして、列車でも飛行機でも昏々と眠り続けていた。なので、この旅は本当に大丈夫なのだろうか、という不安が先行していたのだ。だが・・・現地についてみたら、思いの外、暖かい。しかも緑の多い那覇市内で、時の流れも、のんびり穏やか。奥様所望のDFSに出かけた後、国際通りや公設市場を覗いていると、バンコクの喧噪を思い出す。しかも、その晩入ったホテルの近所の居酒屋では、超絶品な刺身の盛り合わせに、魚のバター焼き。オリオンビールと泡盛でクラクラしかけた頃には、すっかり風邪も二ヶ月間の仕事の疲れも吹っ飛んでいた。

タイに行かなくても、充分に南国の良さは満喫できる。しかもたった丸二日でも、めちゃくちゃ楽しめた。次は、もう少し作戦を練って、是非とも石垣島などの離島にも寄りたい。もう少し時間も取りたい。あれも食べたい・・・などと、「また来たい」と思うくらいの、満喫であった。甲府に帰ってくると、月末の原稿の最終チェックの仕事やら、年度明けの仕事のあれこれやら、急に現実に引き戻される。でも、2月3月の多忙の後に、こういうギアチェンジのための「潤滑油」がさされたので、何とかまた走り出せそうだ。4月以後、大学の仕事だけでなく、とある公的な仕事に相当翻弄されそうなので、その前に、身も心もリフレッシュできたのは、本当に良かった。さて、明日から新年度。早く沖縄時間から、仕事モードに立ち上げないと・・・。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。