ストックホルムより

 

たった1週間のスウェーデン調査。土曜日は甲府でも大雪だったので、バタバタと荷造りをして、千葉まで逃げて、無事に旅立つ。でも、ここ最近死ぬほど忙しかったからか、色々忘れものが多い。デジカメを忘れて写るんですを買い、海外での変換プラグを忘れホテルで借り、ANAのマイレージカードをコペンハーゲン空港で落としたようで再発行のお願いをする始末。時間的余裕がない中での旅行、というのは、あんまりよろしくない。

昨日は今回の調査の目玉の日。社会庁で、朝から夕方まで、都合3人の人々に、色々インタビューをする。インタビュー自体は成功裏に終わったのだが、そこで緊張の糸が切れたのか、またストックホルムが急に冷え込んできた為もあってか、ホテルに戻ってから、何だか調子が悪い。さらに、昨日までパソコンがネットにつながっていたのに、昨日晩から急につながらない。フロントに電話したら「サーバーがダウンしています」とのこと。僕もそのうち調子が悪くなり、ダウンしかけたので、これだけは忘れずに持ってきた葛根湯を飲んで、夜7時頃には眠りにつく。時差ぼけであまり寝れていなかった+久々に英語を使うストレス+ちゃんと思い通りのことを聞き出せるかという心配など諸々重なってぐったりしていたが、厚着をして汗をかいてねると、夜中には多少ましになる。で、これも忘れなくてよかったのが、即席のみそ汁。身体に染み渡るので、マグカップにいれて二杯飲む。その後ほっこりしてきたので、また眠りにつくと、何とか翌朝には復活。ああ、よかった。

今回はたった一週間なのだが、LSS(障害者の権利法)の実態と支援者教育という二本の柱について、かなりみっちりと、聞き取りを続ける。今日は午前中、神学博士の方と支援者の倫理(ethics)について議論。倫理と聞くと、説教くさい話に聞こえるかもしれないが、さにあらず。対人直接サービス(英語ではHuman Serviceなんて言いますが)に携わるものが持たなければならない価値とは何か、について、じっくりうかがう中で、こういう視点が確かに必要とされているよなぁ、と実感。もちろん、1時間半のインタビューでは、その入口の部分しか聞けなかったので、帰って教えてもらった本をじっくり読みながら勉強せなあかんよね、という項目を発見してしまう。

で、あと5分で、1時間の無線ラン使用権が切れるので、これからの予定も簡単に。
これからイエテボリに向かい、4年間に前にお世話になったグルンデンを表敬訪問。それから、イエテボリでもLSSの実態に詳しい人に聞き取りをする。木金とみっちり働いて、土曜の飛行機に乗って、日曜日には帰国。ほんとはもっとじっくり聞き取りをしたいのだけれど、日本の宿題もぎょうさんたまっております。ただ、やはり日本をつかの間でも離れると、日本でのあれこれを相対的に考え直すチャンスであることは確か。ここ最近、忙しすぎてあんまりゆっくり考える間がなかったので、ちょっと反省モード、で飛行機に乗り込むこととしよう。

では、また。(たぶん次はイエテボリより)

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。