プレイングマネージャーとして

 

今宵は「かいじ」車内の人。三重の五回研修で一応無事に「留めを打つ」ことが出来、文字通り「肩の荷が下りた」状態で、のぞみ号から最終一本前の「かいじ」に辿り着いた。

それにしても市町職員研修(三重は合併で村がないのです)を、実際、市町が今年度課題として取り組んでいる「障害福祉計画の見直し」という大テーマにぶつけ、困難事例の「捉え直し」、給付率分析から自分たちで「見直し原案」を考える研修、というのは、受講者側だけでなく、企画者側にとっても「言うは易く行うは難し」の見本のような内容だった。私自身も、従来の一回こっきり研修なら「言いっぱなし」で逃げることが容易に可能だったのだが、今回はこの研修実践の成果を、市町さんもアテにしているだけでなく、県もご自身の障害福祉計画作りに大いに参考にされる、という。まさに、どこまで何が出来るのか、が本当に問われる研修だった。それゆえに、第4回から5回にかけての内容の作り込みが、実に大変だったのである。

だが、今回相当手間暇かけて、また県担当者だけでなく、受講生の立場から研修企画者側にご一緒してくださったM市のMさんのお力添えも多分に活用し、かつ見学者のつもりだったミヤモトさんも巻き込む中で見えてきたのは、本当の人材育成は、今回やったくらいの「手間と暇、そして知恵と情熱」を必要としている、ということだった。逆にいえば、これほどの「手間・暇・知恵・情熱」をかければ、その地域の特性にあった、やった甲斐のある研修、明日の施策の改善につながる実践型研修が可能なのだ、ということも、やってみてよくわかった。今、山梨でサービス管理責任者研修の組み立てもこれと同じ線でやっているので、この部分は本当に実感として感じる部分である。また、終了後の反省会でちらっと見た受講者の感想の中にも、「議論の時間が足りなかった」「来年度もこういう研修を受けたい」「光が見えた」という嬉しい声が載せられていたことも、嬉しい限りだ。

やっつけ仕事でなく、魂を込める仕事は、正直へとへとになる。だが、そういう中から何かが変わる契機になるのであれば、やりがいは一塩だ。いつもブログを見てくださるM先生が「タケバタさんはプレイングマネージャーだね」と仰ってくださったが、確かにその方向で仕事をしているのかもしれない。プレイヤーとして、システム作りに関わりながら、マネジャーとして人びとの意識付けや現任者教育にも関わる。乗りかかった舟なので、しばらくこの路線で突き進んでみようかしら。ちょっとくたびれるけれども。

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。