念願の…

 

自宅の書斎の片づけをした。ほんと、荒んでいた。

本棚だけでなく、机の上も本が散乱し、にっちもさっちもいなかなった。アメリカ出張中にパートナーが服の移動を行って下さったのはよいが、その残骸が書斎に溜まっていた。そして、出張帰りのスーツケースやら、色んな書類やらが、地べたにどかどか、ぐちゃぐちゃ。それをみて、益々片づける気力が失せ、いつしか書斎のPCの前からも遠ざかり、そしてこのスルメブログからも

こういう悪循環を断ち切ることが出来たのは、ようやく少し、春休みが取れたからだ。まずはじっくり睡眠を取った後、久しぶりに台所にも立つ。昼は大家さんに頂いたほうれん草とベーコンのパスタ。夜は、新ジャガのフライドポテトにゴーヤチャンプル、そしてうるめいわしの梅煮。春の味が非常に美味しい。こういう美味しいものを食しているうちに、気力が沸いてくる。そして少しは改心して、「時間は有限だから」と、読まない本をどんどん処分し、スペースを見つけ、机の上の本をそちらに移す。ついでに服の入れ替えと、いらない服も処分する。そうして、ようやっと書斎も衣装棚もまともになった。頭がすーっとしてくる。

実はこの休暇の間に、整理本も集中的に読んでいた。

「私たちは、必ずしも自由に読書の時間をとれるわけではありません。他にやらなければならないことを山ほど抱え、それでも仕事のためには本を読まなければならず、また楽しみのために本も読みたい。その時間が取れないこともかなり大きなストレスです。では、どうしたらいいのでしょう。まず、<読書以外の気がかりに何とか片をつけること>が必要です。そのための一つの手法として先ほど触れたGTD(Getting Things Done)というものがあります。」(米山優『自分で考える本』NTT出版p29)

これを読んで気になり、早速GTDの推奨者、デビッド・アレン氏の著作『ストレスフリーの整理術』『ストレスフリーの仕事術』(ともに二見書房)を読んでみる。以前、『ガラクタ捨てれば自分が見える』を読んだ時と同じような見通しのよさが、よりプラグマティックに書かれていて面白い。たとえばこんな風に

「私はまず『あなたの能力は、あなたがリラックスできる能力に比例する』という法則からはじめ、さらに生産性を向上させる次の4つの分野について掘り下げていった。
1,あちこちに散らばった『やりかけの仕事』を集めて処理すれば、するべきことが明らかになり、エネルギーが沸いてくること。
2,やるべきととをあらゆる視点から観察し、意識的に管理すれば生産性が高まること。
3,信頼出来る枠組みを構築し、それを使い続ければ必要な集中力を得られること。
4,柔軟かつ前向きな行動を日常的に実践することにより、物事が前に進んでいくこと。」
(デビッド・アレン『ストレスフリーの仕事術』二見書房、p20-21)

この4つが、一番出来ていなかった領域。「やりかけの仕事」が不明確で、エネルギーが沸いてこないことはしょっちゅうある。それが忙しいはずなのに無駄なネット暇つぶし、に直結する。意識的な管理が崩壊すると、生産性も破壊される。だからこそ、予定表を含めた枠組みも崩壊。それゆえ、柔軟さや前向きさがなくなり、物事が悲観的、日和見的処理になっていく

こんな日が続いて、非常に身も心もささくれだっていたのだ。そこで、一念発起して、とにかく捨てる、処理する、収集する、整理する。この本に書かれているGTDのメソッドを徹底的にするには、実はまだその半分の段階にも来ていない(全ての情報を収集し分類・整理しきっていない)のだけれど、とにかく暫定的に職場と自宅の書類を大処分したので、まずは整理の前段階に入った。それと共に、少しずつ頭がクリアになってくる。特に、自宅書斎は、本棚の整理も今日したので、「あ、こんな本を買っていたっけ」というめっけもんに沢山出会う。なるほど、意識的な管理は、大変だけれど、大切なのですね。

もともと本を読むスピードも速くないし、要領も頭も良くない。ならば、なおさらのこと、<読書以外の気がかりに何とか片をつけること>が大切なのだ。そういえば、カリフォルニア調査の時、現地のソーシャルワーカーに職員教育の質問をしていた時、彼の地でもタイムマネジメントが最大の鍵だ、と言っていた事を思い出した。膨大なケース数を、しかも一定のクオリティを保ちながらこなす為には、時間管理の術が欠かせないのだそうな。それって、全くもって自分にも当てはまる。本を読んでいない、考えていないと、どんどんアホになる。しかし、「読書以外の気がかり」はなかなか消え失せない。ならば。マメな整理以外、状況は打開出来ないのだ。ま、これに気がつけたのも、こうして休暇があったから。心にも時間にもroom(余地、余裕、隙間)をどう創れるか。山梨に来て4月で5年目、そろそろこれくらいは出来なくっちゃ

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。